4.機嫌のいいサインを見逃さない
さて仕事で付き合わなければならない相手の中には、どうしてもムシが好かない人や苦手な人が一人や二人いるものです。それが上司だとしたら……ちょっと考えただけでも気持ちが重くなりますよね。
かつて私の上司に非常に低血圧の方がいました。様々な案件を進めるためには避けて通れないわけですが、何人もの部下が怒鳴られるのをずっと見ながら、どうしたらこの人に話をうまく通せるか考えた結論は「朝、話しかけないこと」「昼ご飯がすんで、ふと気が抜けた時に話しかけること」の2つでした。
ちょっと昔は、前の日に自分のひいきの野球チームが負けただけで翌日は機嫌が悪い、といったような感情に起伏のあるやっかいな上司も多くいました。
そういう人とうまくやるために共通するのは、機嫌がよくなったちょっとしたサインを見逃さないことです。
「コーヒーをいれてくれないかなぁ」と言う声がふと穏やかになったとか、職場の部下となんということのない世間話をし始めた、といったサインをとらえれ、「それっ!」とばかりに懸案事項を相談に行く。こうしたタイミングを図るということが、案外大事だったりするのです。
5.絶対に話の腰を折らない
会社の偉い人ほど、不思議と話のパターンが決まってくることがあります。様々な機会でスピーチを求められるため、何度も話しているうちにムダな部分がそぎ落とされて必然的に話す内容が決まってくるということもあるでしょうし、ウケるための鉄板ネタを必ずスピーチの中にいれるということもあるでしょう。
話を聞く方にとっては、実はこれが初めてではないということがあるものです。そんな場合でも「その話はもう100回くらい聞きました」などとは口が裂けても言ってはいけません。海外のビジネスマンの間にも「ボスのジョーク」という言葉があるくらいですからこうしたことはよくあるのでしょうが、「ボスのジョークはいかなる場合でもウケる(振りをする)」のが重要だといいます。
相手にとって、しゃべることはカタルシスなのですから、相手を気持ちよくするために絶対に話の腰を折ってはいけないのです。もちろんそれが注意や小言の場合もあります。相手が話を始めたら、毎回同じことだと思ってもまずは聞く様子を見せる。時に相相槌も打つ。小言だから多少論理の矛盾が生じてきますが、そんなことも気にしない。
ともに会話のポイントは、とにかく話の腰を折らないこと。仕事先や上司ならば、相手に七分しゃべらせて、いい気分にさせておき、こちらは三分で用件を伝えます。この割合が身につけば、相手に好印象をもたせることができるのです。
いかがでしたか? 頭では分かっていても無意識的にやっていることも多かったのではないでしょうか。よりよい人間関係のために、今日からでも実践してみてください。
高嶋秀武(たかしま・ひでたけ)プロフィール
1942年、神奈川県横須賀市生まれ。明治大学卒業後、ニッポン放送入社。ニッポン放送でパーソナリティーを務めるほか、大正大学客員教授、各地での講演会などその活動は多岐に渡る。『話のおもしろい人、つまらない人』(PHP研究所)、『あの人につけたい「おしゃべりのクスリ」』(小学館)、『話が面白い人のちょっとした習慣術』(青春出版社)など著書多数。最新刊は『話し方ひとつで人生はうまくいく』(小学館)。
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構成/編集部
※記事中のデータ等は取材時のものです