世界に誇る日本の電気製品。それらの開発にあたる大企業に勤務する社員たちは、いったいいくらくらいの年収を稼いでいるのだろうか?
今回、そんな電気機器業界における「年収の高い企業ランキングTOP10」を発表する。なお本ランキングは、年間2000万人が訪れる企業口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」のユーザーが投稿した情報をもとに、電気機器業界に属する平均年収が高い企業をまとめたものだ。
電気機器業界の年収ランキング
2位「パナソニック」に110万円もの大差を付け、ソニーが第1位に。それでは10位から順番に、実際にその会社で働く社員の声を紹介していこう。
10位:シャープ(平均年収554万円)
「報酬(賞与も含めて)は会社の経営状態が悪化してから減額されたため、一番稼いでいた頃よりも大幅に年収が減った。ただし、住宅ローン返済の相談など、社内のフォローはしっかりしていた。査定制度については妥当であったと思われる」
(管理関連職/30代後半女性/年収600万円)
※2016年度に関する投稿
9位:リコー(平均年収572万円)
「大学院卒は初任給23万円くらいです(※)。1年で8000円くらい上がる感じです。ボーナスは1年で4か月分くらい。カフェテリアプランが利用でき、年間12万ポイントが付与されます。食堂などで利用ができ、便利です」
(システム運用/20代後半女性/年収400万円)
※2015年度に関する投稿。2017年4月実績の修士了初任給は24万3500円
8位:日立製作所(平均年収616万円)
「報酬は同業他社のなかでは多いほうだと思う。基本給も年に1回の昇給により年功序列で上がっていく。賞与は年2回で5.7か月分ほどでる。ボーナスの額は多いほうだと思うので満足している」
(システムエンジニア/20代後半男性/年収500万円)
7位:富士ゼロックス(平均年収620万円)
「メーカーではトップレベルの報酬額で基本的な満足度は高い。マネジャーは当然1000万円を超えるし、マネジャーの手前でも残業が多ければ超える」
(その他職種/40代後半男性/年収1290万円)
6位:三菱電機(平均年収627万円)
「仕事量の割には給料が良く、満足している。土日出勤もなく、残業もそれほど多くない。ワークライフバランスはしっかりと取れるため満足している社員は多い。その他の福利厚生などもしっかりとしている」
(研究開発/20代前半男性/年収400万円)
5位:キヤノン(平均年収638万円) ~デジカメ、レーザープリンター等で世界シェア1位。役割給制度を採用~
デジタル一眼レフカメラ・ミラーレスカメラの世界市場において15年連続で台数シェア1位を誇るグローバル企業「キヤノン」。年齢・性別に関わらず、仕事上の役割や成果によって報酬を決める「役割給制度」を採用している。賞与には個人・会社の業績をともに反映。
「昇進試験にいかに早く合格できるかによって同期でも大きく年収が異なってくる。最速で試験に合格し昇進できれば、同業他社の同年齢で比較しても、満足いく報酬を得ることができる」(研究開発/20代後半男性/年収670万円)、「30代前半で大体600万円後半。ただし合格率10%とも噂される社内試験に合格することが必要」(研究開発/30代前半男性/年収690万円)といった口コミが見られた。
4位:NEC(日本電気)(平均年収650万円) ~通信インフラ設備国内No1。顔認証技術世界1位など技術力に強み~
通信インフラ設備で国内1位の「NEC」。業績低迷によりリストラ・事業売却等を行っており、実績や技術力を武器に事業見直し・収益力強化に取り組んでいる。初任給は学士了21万500円、修士了23万4500円、博士了では28万8000円(※)。
「管理職になるとボーナスの割合が大きくなるため、会社業績が良ければ、それなりの年収になる」(法人営業/50代前半男性/年収1100万円)、「転勤、海外勤務を経験していると手当が一気について、年間収入が増える。安定した金額をもらい続けることが可能。福利厚生はしっかりしており、不満はない」(代理店営業/30代前半男性/年収800万円)といった声が寄せられた。
3位:東芝(平均年収665万円) ~2016年から続いた一般社員のボーナスカットは終了へ~
「東芝」が公開している平均年収は2016年度に落ち込みましたが、2017年度は回復傾向に。「同業他社と比較して非常に高水準、業務の負荷や業績の状況と比較しても多いと思う。昨今の緊急対策によるボーナスカットでようやく業界水準並みかと思われる(※)」(代理店営業/30代後半男性/年収830万円)といった口コミもあり、一連の東芝問題が尾を引きながらも、高い給与水準を維持させていることがうかがえる。
2018年の春闘では月額1500円のベア。「東芝メモリ」の売却益が計上され、2018年4~6月期の純利益は前年同期比で約20倍となっているが、主力の半導体事業がなくなった後の動向に注目が集まっている。
※2017年度に関する投稿
2位:パナソニック(平均年収666万円) ~最終利益2000億円超え。年功序列ではなく仕事内容に応じた報酬を支給~
2018年3月期連結決算の最終利益が前期比58%増の2360億円となり、2018年の春闘は1500円のベアで決着。ソニー同様高年収で知られ、年功序列の要素を排除した賃金制度を導入している。
「残業代が仕事したぶん全部出るので手取りの給料はとてもよかった。査定は成果がしっかり出れば評価してもらえ、昇給やボーナスに反映してくれるのでやりがいはあった」(機械設計/30代後半男性/年収850万円)、「頑張れば年収800万円は30代で到達できる。なおかつ、福利厚生もしっかりしており、年収+100万円は実質支給されると考えられる」(研究開発/20代後半男性/年収500万円)との声も。
1位:ソニー(平均年収776万円) ~業績好調で営業利益過去最高。15年ぶりベアで年収5%アップ~
半導体やゲーム事業が好調で、2018年3月期の連結営業利益が20年ぶりの過去最高となった「ソニー」。企業が公表している平均年収も電気機器業界のなかでトップクラスだ。
口コミでは「ジョブグレード制が採用されており、若い年齢の方でも多く給料をもらっている人が多い印象です」(その他職種/20代後半男性/年収500万円)、「手厚い家賃補助が支払われていたため、非常に助かりました。家賃の6割~7割程度を会社に負担していただいていた」(研究開発/30代後半男性/年収940万円)といった声も。2018年の春季労使交渉(春闘)では年収ベースで約5%の賃上げとなった。
ソニーが貫録の1位となった今回のアンケート。2018年3月期の連結営業利益が20年ぶりの過去最高となった同社の牙城を崩す電気機器系企業は当分現れないだろう。
<調査概要> 「鉄鋼・金属業界の年収ランキング」
調査対象:『日経業界地図 2018年版』(日本経済新聞出版社)の「鉄鋼」「非鉄金属」「レアメタル・レアアース」に記載があり、対象期間中に「キャリコネ」に雇用形態が正社員のユーザーから給与明細投稿が20件以上寄せられた企業
対象期間:2013年4月1日~2018年3月31日
※本ランキングの平均年収はユーザーから寄せられた情報をもとに算出しており、企業が発表している数値とは乖離している場合がある。
出典元:株式会社グローバルウェイ
構成/こじへい