Impression
Devialetの製品は見たことも聞いたこともなかったが、技術指向のメーカーで『PHANTOM』の内蔵アンプにはADH(Analog Digital Hybrid)と呼ばれるクラスAアンプの音質をクラスDアンプの効率とサイズで実現する技術を使ったり、SAM(Speaker Active Marching)、ACE(Active Cospherical Engine)、HBI(Heat Bass Implosion)などの技術が使われている。
『PHANTOM』は3Way方式でフロントに同軸2Wayのツイーターとミッドレンジがあり、両サイドにサブウーハー2基を対向面に配置している。サブウーハーは左右対称に動くため互いの振動が打ち消されエンクロージャーが動かない仕組みになっている。アンプはモノラルパワーを4基搭載する。容積はわずか6Lで14Hzの超低音が再生できるとはにわかに信じがたいがデモ演奏では左右のサブウーハーが目に見るほど大きく振幅した。さらに球形に近い形のため音場が広く、音像定位は極めてシャープである。高域から低域までレスポンスがいい音で、高域はやや硬質だが、女性ボーカルはなめらかに再生された。フランス製というイメージとはかけ離れモニタースピーカーに近いフラットバランスでハイスピードな音だ。
デモ演奏は有線接続でおこなわれたが、おそらくワイヤレス再生でもピカイチの高音質であることが想像できる。ここに大型フロア型スピーカーに対する強烈なアンチテーゼと言えるべきスピーカーが登場した。
写真・文/ゴン川野