刑事は一般ビジネスパーソンから見ても、かなり多忙なレベルに見える。スケジュール管理はどうしているのか気になるところだ。そこで元刑事で現在は経営コンサルタントをしている森透匡氏に、警察手帳の中身や刑事のスケジュール管理や多忙な中での健康管理法について聞いてみた。
刑事のスケジュール管理事情
まず刑事はどのくらい多忙なスケジュールをこなしているのか。約20年の刑事歴を持つ森氏に聞いてみた。
「所属部課によって異なりますが、特に突発事件である殺人、強盗、誘拐等に対応する捜査一課は緊急に対応する必要があり、毎日気が抜けない部署だと思います。私は知能犯担当の捜査二課が長かったのですが、事件着手した後は数か月自宅に帰れないくらいの忙しさでした。ですから警察署の道場に寝泊まりする者も多かったと思います」
忙しい時期はとことん忙しくなる刑事。どんな風にスケジュール管理を行っているのか。
「ほとんどは『備忘録』と呼ばれるノート、スケジュール帳を自分で持っている者が多いです。また今の時代ですから差しさわりのない範囲で、スマホで管理している者もいます」
警察手帳は、スケジュール帳としては使っていないのだろうか? そもそも何が書かれているのか。
「現在の警察手帳は、上部に顔写真、階級、氏名、手帳番号が書かれた証票、下部には都道府県警察名とPOLICEの文字の入った金色の記章(バッジ)がはめ込まれています。手帳というよりも身分証明書の役割をしており、メモ用紙の部分はありません。ちなみに昔の警察手帳には手帳という名前の通り、メモ書きができる部分がありました。
現在の警察手帳は2002年に導入されましたが、当時、私の所属にもアンケートが回ってきていくつかの見本の中からFBIやアメリカの警察官が持っているバッチ付きの警察手帳がかっこいいなと選んだ記憶があります。このアンケート結果も踏まえて現在のモデルになったものと思います」
●事件のメモはどうしている?
今や警察手帳にスケジュールを書き込んでいる刑事はいないようだ。しかし気になるのが、事情聴取などで仕入れた情報はどうしているのかということだ。
「事情聴取の際は備忘録に記入しています。備忘録はB5サイズの一般的なノートですので、いっぱいになれば自分で新調します。私の場合、備忘録だけで何十冊もありましたね」
手書きとは意外とアナログ。パソコンに記録するのはセキュリティ上の問題なのか?
「相手から話しを聞きながら内容を忘れないためにメモ書きをするわけで、携帯電話のメモ機能やパソコンでは失礼になります。そのため、基本的には手帳やノートに手書きだと思います。その後、書類を作成したりする場合にはパソコンを使用します」