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ダイニチ工業が石油ファンヒーターでトップシェアを維持し続ける理由

2018.09.18

 猛暑となった今年の日本。しかし、その暑い夏に、冬ならではの新商品が発表されるものである。

 新潟市に本社を置くダイニチ工業も8月下旬、石油ファンヒーターと加湿器の新製品を発表した。石油ファンヒーターと加湿器はともに、冬に使用する季節家電の代表選手だ。

 これら2つの分野でシェアトップなのが、実は同社である。石油ファンヒーターは販売台数で11年連続(2007〜17年度)、加湿器は出荷数量・金額の両方で5年連続(2013〜17年度)トップに立っている。大手家電メーカーと比べたらはるかに小さい同社がなぜ、両分野で長きにわたりシェアトップを維持できているのか。新製品発表会の席上で、その理由が明らかにされた。まず石油ファンヒーターがシェアトップを維持できている理由から見ていこう。

3つの課題解決に取り組み続けてきた石油ファンヒーター

 そもそも石油ファンヒーターは、1978年に三菱電機が世界で初めて開発したもの。日本の冬を代表する暖房機として成長したが、エアコンの普及により市場が縮小。最盛期には13社ほど手がけていたが大手企業が撤退し、現在は同社を含めて4社しか残っていない。

 しかしそれでも、エアコンとの併用などにより一定の市場規模が確保できている。一般社団法人日本ガス石油機器工業会の調べによれば、石油ファンヒーターの出荷台数は200万台以上を維持しており、2017年度は厳冬のため前年度より18万台アップの231万台に達した。

 このような市場で、同社は長年シェアトップを維持しており、2017年度は55%のシェアを獲得している。これほどまで大きなシェアを獲得できたのは、「着火に時間がかかる」「灯油の臭いがする」「給油が面倒」という石油ファンヒーターの3つの課題に応えてきたからであった。市場は成熟していても製品は成熟していないために、改良・発展の余地はまだ大きいということである。

 まず「着火に時間がかかる」点については、業界最速の40秒着火を実現。「灯油の臭いがする」点については、特許を取得した独自の消臭システムを開発して消臭満足度95%を達成し、「給油が面倒」という点については、業界最大の9リットルタンクを搭載して給油回数を大幅に減らした。独自の特許技術と業界トップの機能により、リピーターの支持を強固なものにし、他社製の石油ファンヒーターに浮気しないようつなぎとめてきた、というわけである。

ハイブリッド式のデメリット解消に努めてきた加湿器

 一方、加湿器は石油ファンヒーターより歴史が古く、誕生から50年以上経過。市場は石油ファンヒーターと違い、拡大傾向にあるという。エアコンの普及に伴って室内の空気が乾燥しやすくなったこと、インフルエンザ対策などのために湿度コントロールの重要性が高まったことから、エアコンとの併用が進んだことが背景にある。

 加湿器は大きく分けてスチーム式、気化式、超音波式、ハイブリッド式(超音波/スチーム、温風気化/気化)がある。同社が手がけるのはハイブリッド式(温風気化/気化)。水を含んだフィルターに風、または温風を当てて加湿する方式である。

 同社が加湿器に参入したのは2003年と後発。それでもシェアトップを獲得できたのは、ハイブリッド式が抱えていたデメリットの解消にあった。ハイブリッド式には、子供や高齢者がいても安心して使え経済性が高いというメリットがある一方、運転音が大きいというデメリットがある。

 運転音はファンの風切音、モーターの振動音、モーターのうなり音の3つを徹底的に抑えたことで低減した。風の流れ方、モーターの位置/取り付け方/制御を、一つひとつを見直して試作をつくり検証。特殊のパーツや機構を採用することなく、地道な工夫で運転音を静かにしていった。

 その結果、加湿量300ml/hクラスのモデルで静音運転に相当するモードで運転したときの運転音は17dB。同じクラスの他社製気化式加湿器より格段に低い。また、静音運転モードでも加湿量は240〜250 ml/hと高く、同じクラスの他社製気化式加湿器よりはるかに多い。加湿量を犠牲にすることなく、静音性を実現したことになる。

 同社製品のモニターアンケートの結果では、加湿器の静音性に対する満足度は89%。モニターからは「運転しているかどうかわからないほど静か」「寝室で使えて満足している」といった好意的な声が聞かれた。

 このほか、支持されている理由として同社が挙げたのが、国内生産と3年保証、持ち運びハンドルと抗菌フラットトレイなどによる使いやすさ--の2点。使いやすさについては、細かい気遣いともいえる工夫がユーザーから高く評価されている。

 石油ファンヒーターにしても加湿器にしても、シェアトップを獲得できたのは、課題に向き合い、絶えず改善してきたからではないだろうか。現状に満足することなく妥協しない姿勢が、シェアトップという評価につながっている。

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