海外メーカーから次々と登場するコンパクトサイズのSUV。今回もデビューしたばかりの注目の2台をピックアップ。ドイツとイタリア、その思想の違いはどこまで反映されているのか、確かめてみた。
イタリアの名門スポーツメーカーであるアルファ ロメオは1910年にミラノで創業して以来、一時期ジープタイプを生産したことはあるが、常にモータースポーツに参加できるようなスポーツモデルだけを造り続けてきた。
アルファ ロメオがSUV市場に参入した理由
しかし近年、北米や中国市場で販売台数を伸ばそうとした時、車体が大きく車高の高いSUVが必要だと判断し、SUV市場への参入を選択した。ちなみに、新型SUV『ステルヴィオ』の車名は、イタリア北部のつづら折りが連続する高低差の激しい峠の名前。SUVでも走り屋の心は生きているという意味が込められているところがアルファ ロメオらしい。
一方、BMWも創業が1916年で100年以上の歴史をもつ。こちらもスポーティーなドライビングを意識したクルマ造りでファンを獲得してきた。SUVは1999年に『X5』を発売。SUVブームの先駆けとなった。以来、『X3』、クーペタイプの『X6』、『X1』とラインアップを拡充し、市場を牽引してきた。『X2』はシリーズ最新モデルで、今後の方向性を示す新しいデザインを採用したモデルと位置づけられている。
イタリア車とドイツ車の個性を象徴する2台
試乗してみると、2台ともスポーティーな走りを前面に押し出してはいるが、性格の異なる味付けが施されていることがわかる。『ステルヴィオ』は全長4.7m、全幅1.9mというサイズを感じさせない軽快なハンドリングが楽しい。やや軽めの操舵感とクイックな操縦性が特徴で、カーブが連続する峠道でも軽快に走り続けた。
対して『X2』はコンパクトさを感じさせない居住空間と手ごたえのあるハンドリングが特徴。峠道で走りを楽しむというよりは、高速ツーリングを安心して続けられる安定感がある。
このあたりがイタリア車とドイツ車の明確な違いとして感じられた。さらに『X2』は全車にスマートフォン連動のコネクテッドドライブを標準で装備。FF、4WDなどバリエーションも豊富だ。次々に、個性的で、魅力的なSUVを投入する海外メーカー。最近、新型車の登場も少ない国産メーカーの奮起に期待したい。