ビジネスミニマリストが最低限のモノしか持ち歩かない理由

最小限の荷物で最大のパフォーマンスを得るなど夢物語のようだが、それを実践している人がいる。今回、ダイム世代のビジネスミニマリストに集まってもらい、モノを減らすことの快適さについて語ってもらった。

「最低限のモノしか持ち歩かない」が原則

　　　まずは、仕事カバンの中身を見せていただけますか？

石黒　ノートPCとスマホに充電器類、財布に折りたたみ傘。私はカバンをオンオフ兼用にしているので、ほかのミニマリストの方に比べると多いのですが、中身の入れ替えをしなくて済むので、忘れ物はほとんどしません。

菊池　僕の場合、仕事に必要な道具だけ。私物はスマホと財布、家とクルマのカギくらいです。

対馬　スマホとWi-Fiルーター、財布に化粧ポーチと日傘兼用の折りたたみ傘。あとは必要に応じて、ノートPCが加わります。

桶田　私は営業なので、それにメモ帳と名刺入れが加わる感じかな。メモ帳はPCでメモを取るのを嫌う方が意外に多いので、その対策用。本当は必要ないんです（笑）。

　　　荷物を少なくするための工夫があれば教えてください。

石黒　本を電子版にするだけで、変わります。持ち歩く紙が減るので、一気に荷物が軽くなりますよ。

対馬　私も紙類を持ち歩かずに済むように書類はPDF化。カードも財布に入れるのは数枚で、あとは基本的にスマホのアプリを使います。文具類は会社にありますから、基本的に携行していません。

石黒　結果、スマホさえあれば、大体のことはできてしまう。買い物、懐中電灯、写真、メモ、カード……すべてを集約できます。

　　　持ち物を最小限にしたことで何か変化はありましたか？

石黒　私にとっては、カバンをひとつにしたことが大きいですね。持ち物の所在が明らかなので、モノを探すイライラが減りました。

菊池　僕は重い荷物から解放されたことで歩くのが楽しくなりました。軽くなった分だけ歩く距離が増えて、結果的に痩せましたよ！

対馬　私は肩こりが軽減しました。忘れ物の心配がなくなって、体も気持ちもラクになったからかも。

桶田　そう、持ち物を厳選しているので仕事の道具を見ても憂鬱にならず、心穏やかに仕事に集中できますよね。

　　　モノを少なくすることで得られたビジネス上のメリットは？

対馬　上司に「あの資料ない？」と言われても、すぐ出せる。そもそもいらないモノが多いから、目的のモノが見つかりにくいだけ。例えば紙で取っておかなきゃいけないものって、直近の会議に使う資料ぐらいで、実はそう多くない。ですから、基本的に、それ以外の資料はデータ化して共有のフォルダーに入れています。文具も毎日使うもの以外は、オフィスに共有の場所を作り、そこにあるモノを使う。〝データ化と共有化〟、を実行するだけで仕事の効率が上がります。

菊池　モノの持ち方がスッキリすると、考え方もスッキリしてくるので、会話の流れをつかみやすくなる。だからかな？　僕は人の意見をまとめるのが得意かも。

桶田　モノが多いと、タスクもたくさんあるような気がして、気が滅入りませんか？　でもそれを最小限にすれば、やることも明確になる。意欲的に仕事に取り組めるようになると思いますよ。

ミニマリスト同士は、モノを最小限に抑えた部屋の写真を見せ合うことも多いという。写真は対馬家のリビング。