今回の調査結果について、県民性研究の第一人者で「県民性博士」とも呼ばれる矢野新一先生に野菜摂取量ワースト3各県の調査結果から各県との関連性を推測し、県民性研究者としての観点からコメントをいただいた。
愛知県の調査結果について
「愛知県に限らず、あくまで今回の調査結果からの推測になりますが、47都道府県中、最も野菜摂取量の少ない県が愛知県となったのは、まず外食が多いことが関係しているのではないかと思います。外食が多い理由としては、他の地域以上にファミリーで行動する傾向が高いことが挙げられます。愛知県では子どもが大きくなっても愛知県に住み続ける人が多く、年齢を重ねても親子ファミリーで一緒に行動することが多くなってきます。
更には、愛知県はクルマ社会でもあり、飲食店もそんなファミリーでの来客を目的に駐車場を充実させたりと、外食しやすい環境を整えてきました。結果、ついつい家族みんなで車に乗って外食へ行こうということになりがちなのです。名古屋の人はいわゆる「名古屋めし」が一番美味しいと思っている人が多く、「名古屋めし」には「味噌カツ」、「手羽先」、「ひつまぶし」と肉や魚をメイン食材にしたご飯が進む味付けが多く、野菜に手が伸びにくい可能性もあります。
ですので、どうしても外食が多くなると食べやすい「名古屋めし」の影響で野菜が少なくなってしまうのではないでしょうか。また、愛知県には喫茶店での独特な朝食文化「モーニング」があります。「モーニング」の基本的なメニューはトーストとゆで卵になり、それが朝食の品目数の少なさ、ひいては野菜不足の一因となっているのかもしれません。
一方、愛知県の県庁では健康づくり教室などに力を入れていますし、国内総生産(GDP)の都道府県版「県内総生産」で、東京都に次いで全国2位GDPとなった余裕から、栄養バランス意識の高さや高価格による野菜の買い控えは少ないといった結果が現れているのだと思います。」
富山県の調査結果について
「富山県は実は持ち家比率 NO.1 の県でもあります。富山県の人にとっては“家”がステータスシンボルとなっており、結婚しても共稼ぎしてお金を貯め、立派な家を建てるのを目標にしている人が多いです。ですので、その性格は地道に努力をしていく「長距離ランナー型」とも言われており、そのせいか無駄遣いを嫌う傾向も高いのが特徴です。
そんな性格が作用してか、今回の調査でも高価格による野菜の買い控えをする人が多いという結果が出ており、それが野菜摂取量の少なさに影響しているように感じました。」
石川県の調査結果について
「石川県の人は慎重で大人しい人が多いですが、その反面冠婚葬祭などコレといったシーンでは派手さを好む一面もあります。また、「財産を作ると趣味に生きる」という言葉などがあるほど、精神的に豊か且つ生活の満足度も高いです。そのため、セコセコすることもないことが、高価格による野菜の買い控えをする人が少ない結果に繋がっていると思います。」
株式会社ナンバーワン戦略研究所所長
矢野 新一(やの しんいち)
エリアマーケティングの第一人者で、かつ県民性研究の第一人者。「県民性博士」とも呼ばれている。県民性に関する著作は21冊にのぼり、「名古屋はヤバイ」「ありえへん京阪神」(ともワニブックス)などがある。テレビ出演、雑誌の監修も多数。無料アプリ「ズバット県民性」やサイト「県民性ワールド」も人気。
今回の調査に関して、料理研究家・管理栄養士・インナービューティスペシャリストの関口 絢子先生にも、「野菜不足になりがちな要因」や「野菜不足を解消するポイント」についてコメントをいただいた。
野菜不足になりがちな要因について
「「平日朝食の品目数」が総体的な野菜不足の原因になるという調査結果を鑑み、朝食での野菜不足の要因を推察すると、一汁三菜の和食スタイルから、パン、シリアル、ヨーグルトといった加工品が強く定着してきた事も一因だと考えられます。朝食にはコンビニでも購入でき、そのまま食べられる物が好まれる傾向もあるため、そのような食生活をしていると品目数が少なくなり、それが野菜不足にもつながるのではないかと思います。日々の食生活は、比較的時間のある夜に重点が置かれ、そこで栄養バランスを図ろうとするも野菜不足は補いきれないのが現状のようです。
また、「栄養バランス意識の低さ」についてですが、特に意識していない人は、簡単に済ませることができるラーメンやどんぶり物などを選択しがちで、比較的、糖質や脂質が多く、野菜使用量が少ないことが多いです。無意識のうちに野菜が摂りにくくなってくるのだと思います。
野菜は、洗う、剥く、切るなどの下処理が多く、手間や調理時間をかけたくない人ほど野菜の使用量が減る傾向があります。たんぱく質、糖質、脂質の3大栄養素は十分でも、ビタミンやミネラル、食物繊維は不足しがちで、将来的な生活習慣病予備軍をつくる可能性はかなり高いと思われます。残念ながら野菜は健康のために必要だという認識はありながら、調理に時間と手間をかけたくない人にとってはハードルが高いようです。
ですので、野菜の料理が負担に感じるかどうかと野菜摂取量はやはり比例してくるのではないでしょうか。そのような野菜料理を負担に感じる方には、野菜の加工品を活用した簡単に作れる料理レシピを知っておくと良いと思います。また、“付け合わせ程度の野菜で十分である”といった誤った解釈や、野菜を摂ることよりも糖質や小麦を制限するなど、“食事制限による健康”という意識の高まりなど、野菜摂取に関しては多くの懸念点があるのが現状だと思います。」
野菜不足を補うのに役立つポイント
上記のように、朝食でいかに野菜の摂取量を増やすかが鍵となります。本来なら新鮮な野菜を摂る事が望ましいのですが、現実的には、時間がない、調理が面倒など、さまざまなハードルがあります。
野菜不足を補うのに役立つテクニックとしては、野菜ジュース、トマト缶詰、トマトソースなど、野菜の加工品を活用すると共に、野菜の常備菜、作り置きできる野菜スープを朝食に導入するのも方法の一つではないでしょうか。さらに野菜を美味しく楽しく食べるための簡単レシピを覚えておくなどして、個々のライフスタイルに併せた、野菜を使用した料理を食べていくことが必要だと思います。
料理研究家・管理栄養士・インナービューティスペシャリスト
関口 絢子(せきぐち あやこ)
某出版事業を経て起業し、美容と健康をテーマに様々な企画提案を行う。女性誌、テレビを中心に、毎日続けられる事をモットーに、簡単・おいしい・お洒落、そして 美容と健康に直結したレシピを発信。 健康の付加価値を構築する商品開発で、企業や地方自治体とのプロジェクトに参画し、食の啓発活動に邁進中。