気づけば1000万円超! 普通に買える値段ではなくなった旧車たち
ここまで、価格上昇が懸念される80年代後半から90年代初頭の5台をご紹介してきた。懸念しているのは前述したとおり、旧車は価格高騰が一気に進むからである。そこで、値段が上昇してしまい、おいそれと購入することはできなくなってしまった先輩達をご紹介しよう。明日は我が身である。
まずはご存じ、スカイラインGT-Rから。箱スカなんて通称を持つ71年式が1713万円だ。47年も前のクルマだし、希少なGT-Rなので驚かないプライスだが、このGT-Rに似せた「GT-R仕様」と呼ばれる改造を施した、スカイラインの2000GT、GT-Xのクーペが、800万円とか1000万円なんてプライスをつけていることがある。GT、GT-Xなど素の4ドアセダンはまだ400万円前後で手に入るようだが、このあたりも今後は危ない。気づけば1000万円なんて値段になっても、旧車は文句がいえないし、後戻りすることはない。
外国車勢ではジャガー Eタイプの値上がりが顕著なようだ。会場で展示されたのは中でも人気の「シリーズ1」と呼ばれる初期のシンプルなデザインのタイプで、しかもロードスター。何と2780万円のプライスをつけている。こちらはミントコンディション(最上の状態)と想像され、強気のプライスがつけられたと想像するが、それも日本でのEタイプは普通のクーペで800万円からといった状況。状態が良ければ1000万円を覚悟しなければならないだろう。
また、「タテ目」と呼ばれるメルセデス・ベンツのSクラスも値段が上がっている。写真の280SE 3.5クーペ(W111)は人気の高い1台だが、69年式で1200万円のプライスとなっている。「人気があるのはわかるけれど、コンバーチブルでなくて1000万円超かぁ……」とため息が出てしまう。
旧車の人気は、かつてを知るものにはうれしい限り。大切に乗ってくれる人が一人でも増えてくれれば、文化として残っていくはずである。
しかし、買う立場となると話は別(笑)。都合のいいやつだと思われるかもしれないが、人気は出ても値段は上がらないでくれ〜と矛盾したココロで懐かしの旧車を眺めた。
あなたがもし、80年代後半から90年代前半のクルマに愛着があり、ほしい1台があるのなら、買うなら早めの方がいいかもしれない。旧車は数が減ることはあっても、増えることはない。希少性は年を追う毎に価格に反映されるだろう。もしかしたら、思い立った今が買い時なのかもしれない。
取材・文/中馬幹弘