なんで東電グループがこんなサービスするの? 開発者に聞いてみた
ペットみるんの開発の中心となったのが、東京電力エナジーパートナー リビング事業本部 副部長(リビング・デジタルメディア担当)の中村 剛さん。実はこの方、『TVチャンピオン』というテレビ番組のスーパー家電通選手権で優勝したという、家電の達人なのだ。それと同時に大の猫好き。自宅のマンションで同居するキジトラの猫を溺愛する。
筆者:なぜペットの見守りサービスを始めたのですか?
中村さん:新商品として、家族であるペット向けのサービスをやりたいと思いました。折角作るのならペット好きの自分たちが満足できるものを作りたいと思い、例えば「猫からLINEが届いたらおもしろいよね」といった自由な発想を繰り返しながら、満足できるものを目指して開発してきました。
筆者:ペットの解析をAIで行うということですが、どういう仕組みなんでしょうか?
中村さん:録画用のサーバーにお客様の画像が届きます。それを解析用のサーバーで犬や猫が写っているかを認識します。今では15分以内で解析できるのですが、1年前までは2時間ほどかかりました。その解析にディープラーニングを活用しています。
筆者:毎日上がってくる画像を使って解析精度を上げているのですか?
中村さん:直接みなさんの画像が精度アップに利用されているわけではありませんが、解析精度の向上については、別途行っています。
筆者:Webカメラには首を自動で振ることができるものもあります。また、アプリでできることをもっと増やした方がいいのではないか、そんな意見はありませんでしたか?
中村さん:もちろん、そうした内容は検討しましたが、まずはシンプルにAI解析に注力して、「ペットを認識し、しっかり画像が見られる」という機能を充実しました。
筆者:確かに、自分が見た中で、猫が写っていない画像はありませんでした。画像は1日どれくらい送られるのですか?
中村さん:カメラの設置場所などにもよりますが、私の場合は1日に大体20回程度でしょうか。
筆者:丁度いい量だと思いました。でも、アプリ使用料が月額1350円というのは割高ではありませんか?
中村さん:今回の利用者層に事前にお話しを伺うなどしたのですが、猫や犬を家に置いて出かけなくてはならないご家庭は、シングルか共働きのケースが多いことがわかりました。そういった人にとって、自宅の猫や犬が見られるサービスというのは、大切なインフラなのではないか、であれば、暮らしに役立つTEPCOという以上、しっかりとしたインフラでなくてはならないと考えました。そこで解析技術などに注力した結果なので、ご利用いただく皆さんには満足いただけるものになったのではないかと自負しております。
筆者:シングルやDINKSならペットにお金をかけることが可能かもしれませんね。使ってみてとても便利なサービスだと思いましたが、今後どのように発展していくのでしょうか?
中村さん:アプリの解析速度と精度を上げることに努力していきます。ほかにも、獣医さんとの連携も考えており、治療というよりは予防に役立てたいと思っています。
電気を届けてくれる会社というイメージが強い東京電力エナジーパートナーが作った異色のサービス「ペットみるん」は、暮らしのことを真面目に考えた、東電さんらしいサービスであることがわかった。
本サービスは日本全国で利用可能。アプリ利用料は月額1350円で、使用開始1か月間は利用料無料。カメラは有料レンタルもしくは別途購入により利用いただきたい。さらに、2018年11月18日まで、先着7000名限定でカメラレンタル利用料とアプリ使用料が最大2か月間無料、レンタルカメラは初月無料+1か月間無料になるキャンペーンも実施中。気になった方はぜひ、お試しアレ!
https://www.service.tepco.co.jp/s/smarthome/lp/pet/
取材・文/中馬幹弘