当時は時代の最先端
面白いのが、どちらも当時は最先端の技術を結集し、まさに「機能性」を重視して作られたクルマであるはずだが、50年近くたった今ではその「デザイン」の方にひかれるということだ。自分のようにクルマへの関心が低い人間でも「かっこいい」と感じるデザインの旧車があるのだから、クルマに興味がないといわれる若年層にも魅力的な新車は存在しうる。
クラシックなデザインがトレンド
話は少しそれるが、近年はクラシックなデザインを派生させたものが流行している。例えば、7月まで行われていたサッカー・ロシアW杯ではドイツやコロンビア、メキシコなど80年代から90年代に代表チームが着用したデザインを生かしたユニフォームで臨む国が多かった。「過去の成功にあやかる」や「オールドファンの獲得」なども目的としてあるだろうが、各国のユニフォームデザインは若い世代からも確実に支持を集めていた。
デザイン+機能性+価格
このように、クラシックなデザインは決して「古臭い」わけではなく、現代の若者にもウケる点があるのは確かだろう。
「クルマ離れ」が叫ばれる若い世代にとっても、クラシックカーのデザインに魅力を感じることはできる。そう、クルマに全く興味がない……そんなワケではないのだ。
「FIAT 500」「MINI(ミニ)」など、最新の機能性を備えつつ、クラシックな伝統的デザインを生かし、価格も手頃。そんなクルマが、人気を得ている。
最近登場した国産車の「ジムニー」も、伝統的デザインを取り込みながら、現代に再生した好例だろう。もちろん、価格も若者に買える範囲である。
お買い得でデザイン性にも優れたクルマがもっと増えてくれれば、クルマを趣味にできる若者が、もっと増えるのではないだろうか。そんな期待を抱かせる自動車ショーだった。
取材・文/Praia(s)