ハードウェアとソフトウェアの両面で、ユーザーの快適な利用環境を実現
本体には4000mAhの大容量バッテリーを搭載し、長時間の連続利用を可能にする。従来のGalaxy Note8が3300mAhだったことを考慮すると、約2割増しのバッテリー容量ということになる。ワイヤレス充電にも対応する。
スマートフォンの心臓部であるチップセット(CPU)は、米クアルコム製SDM845搭載モデル、サムスン製Exynos 9810を搭載するモデルがラインアップされる。基地局など、各携帯電話事業者の状況に応じて、国と地域によって、それぞれのチップセットを搭載したモデルが販売される。
メモリーはRAM 6GBとROM 128GB、RAM 8GBとROM 512GBの2つのモデルが用意される。前述のように、microSDメモリーカードは最大512GBまで対応しているため、RAM 8GBとROM 512GBのモデルに装着したときは、ストレージの容量はパソコンに匹敵する1TBまで保存することができる。
Galaxy Note9に搭載されるAndroidプラットフォームは、直前に発表されたAndroid 9 Pieではなく、Android 8.0が搭載される。
高性能化が進んだスマートフォンでは、ゲームや動画のストリーミング再生など、高負荷の用途で端末が熱を持つことがあるが、Galaxy Note9では新開発の「Carbon Cooling System」を搭載し、効率の良い放熱を実現している。これに加え、パフォーマンスと熱対策のバランスに、AIを活かしたアルゴリズムを採用し、ハードウェアとソフトウェアの両面で、ユーザーの快適な利用環境を実現している。
従来のGalaxy Note8やGalaxy S9/S9+では、オプションとして販売される「DeX Pad」に接続し、パソコン用ディスプレイなどにHDMIケーブルでつなぐことで、ディスプレイ上にパソコンと同じようなデスクトップ環境を実現する「DeXモード」が搭載されていた。今回のGalaxy Note9では直接、端末のUSB Type-C外部接続端子とディスプレイを変換ケーブルで接続することで、DeXモードによるデスクトップ環境を実現できるようにしている。この環境ではGalaxy Note9をデスクトップ環境を操作するタッチパッドとして利用できるほか、通知パネルから動作モードを切り替え、Galaxy Note9の画面をそのままディスプレイに映し出すミラーリングモードも利用できるようにしている。
Sペンにリモコン機能が新たに搭載
Galaxy Note9の新機能としては、まず、Sペンのリモコン機能が新たに搭載される。Galaxy Noteシリーズの中核機能のひとつであるSペンは、ペンタブレットで知られるワコムの技術を応用したもので、電磁誘導式を採用しているため、手書き入力などの操作にはSペンそのものに電源を必要としなかった。今回のGalaxy Note9に付属するSペンは、はじめてBluetoothに対応することで、Sペンをさまざまな機能のリモコンとして使うことができる。たとえば、カメラで撮影するとき、Sペンのボタンをリモコンシャッターとして利用したり、ボタンの長押しでカメラを起動して、二度連打でインカメラとアウトカメラを切り替えられるようにしている。また、パソコンのディスプレイなどに接続したデスクトップ環境では、Sペンをプレゼンテーションのスライドを操作するリモコンとして利用でき、Sペンのボタンを一度押して、次のスライドを表示したり、二度連打して、ひとつ前のスライドに戻すといった操作ができる。
このSペンのリモコン機能はBluetoothによって、接続しているため、Sペンにはバッテリーが内蔵される。充電はGalaxy Note9本体に装着時に行なわれ、約40秒の装着で、約30分間、リモコン機能が利用できる。通常のSペンの手書き入力などの操作には、従来同様、充電を必要としない。ちなみに、Sペンのリモコン機能を利用するためのAPIは、開発者向けにSDK(ソフトウェア開発キット)と共に公開されるため、サードパーティのアプリでも利用可能になる見込みだ。
また、Sペンを使った便利な機能のひとつに、従来モデルからスクリーンオフメモが搭載されてきたが、今回のGalaxy Note9ではボディカラーごとに、異なるカラーのSペンが格納されており、スクリーンオフメモも出荷時はそれぞれのSペンのカラーで手書き入力をする仕様となっている。たとえば、ボディカラーがOcean Blueのモデルには、YellowのSペンが格納されており、スクリーンオフメモの手書き入力は黄色い軌跡になる。
生体認証は背面に備えられた指紋センサーによる指紋認証、ディスプレイの上部に格納されたセンサーによる虹彩認証を組み合わせたインテリジェントスキャンに対応する。ちなみに、背面の指紋センサーは、従来モデルではカメラと並ぶレイアウトで搭載されていたが、Galaxy Note9ではカメラ部から少し離された位置に備えられている。
カメラはGalaxy S9+のものを継承
従来モデルではシリーズ初となるデュアルカメラを搭載したが、今回のGalaxy Note9に搭載されたカメラは、今年2月に発表されたGalaxy S9+のものを継承した仕様となっている。背面のメインカメラは12Mピクセルのイメージセンサーに、F1.5/F2.4の絞り可変機能を搭載した標準カメラ、同じく12MピクセルのイメージセンサーにF2.4のレンズを組み合わせた望遠カメラを搭載する。いずれも光学手ぶれ補正を搭載しており、夜景などでも手ぶれを抑えた写真を撮影できる。フロントカメラは8Mピクセルのイメージセンサーに、F1.7の明るいレンズを組み合わせたものが搭載される。Galaxy S9/S9+に搭載され、話題となった「AR絵文字」も強化されており、Galaxy Noteシリーズらしく、手書き入力に対応している。
Galaxy Note8やGalaxy S9/S9+のカメラは、暗いところでの明るく撮影ができるなど、スマートフォンのカメラとしては非常に高い性能を持つことが評価されてきたが、Galaxy Note9では新たにAIによるシーン認識に対応し、それぞれのシチュエーションや被写体に応じて、最適な設定で撮影できるようにしている。たとえば、花にカメラを向けると、「FLOWER」と認識され、花の色合いや精細感を強調した設定で撮影ができるほか、「BEACH」や「SUNSET」「CAT」「DOG」「PORTRAIT」などの設定も自動的に認識される。
今回発表されたGalaxy Note9はグローバル向けのモデルであり、国内向け販売についてはまだ何もアナウンスされていない。ただし、従来のGalaxy Note8も含め、歴代モデルはNTTドコモとauが取り扱っていることから、今回のGalaxy Note9も同じように、両社から今年の秋冬商戦へ向けた新製品として、発売されることが期待される。
ボディカラーごとに、異なるカラーのSペンが格納されている。ボディカラーがOcean Blueのモデルは、黄色いSペンが付属する
ボディカラーは左から「Ocean Blue」「Lavender Purple」「Midnight Black」「Metallic Copper」の4色
前面はディスプレイが占めており、上下のベゼル(額縁)部分は黒く仕上げられているため、ボディカラーはわからない
スクリーンオフメモ(画面オフメモ)は付属のSペンのカラーに合わせた色で手書き入力ができる。設定を変更すれば、他の色にも設定できる
Sペンを取り出すと、利用できるアプリが表示されるSペンメニューが表示される
Sペンをリモコンとして利用できる機能は、設定画面でアプリごとに動作を設定できる。
取材・文/法林岳之