実際、エンジンを収めたボンネットがあるN VANの、後席格納時の前席背後までのフロア奥行きは1585mm。ライバルのダイハツ・ハイゼットカーゴやスズキ・キャリーの1950mm前後の数値からすれば物足りない。
が、N VANの考え方としては、FFレイアウトはもちろん、ホンダ独創のセンタータンクレイアウトによる低床を生かした積載空間の創出である。N VANには働くクルマとして基準車となるハイルーフと、スタイリッシュなロールーフが用意されるが、ハイルーフの場合、125ccのバイクとモンキーをそのまま同時に積み込むことができるという(バイクの場合、ラダーは必要)。これまでハイエースのようなバンでしかできなかった積載が、軽バンで可能になった功績は大きい。そりため、N VANは2輪業界、雑誌、ホビーユーザーからも大注目されているのだとか。
さらに、ダイハツ・タントのような助手席側センターピラーレス構造を採用。助手席側フロントドアとスライドドアを開放することで、車体側面、舗道側からも大きな荷物の出し入れが可能になり、その幅、実に1580mmにもなる。ライバルのスライドドア開口幅は77cm程度なのに、である。
N VANはN BOX譲りの低床も極めている。スライドドア部分のステップ高は400mm。フロアは後席フラット格納対応でそこから70mmほど低くセットされている。フロアの低さがもっとも分かりやすいのはラゲッジの開口部地上高。後輪駆動のライバルの635~650mmに対して、 N VANは525mmと10cm以上低い。もっとも、重い荷物を積み込む際、フロアは低いに越したことはないが、出す際は適度な高さがあるほうが腰の負担が少ないのも事実ではある・・・。