6時半頃、明らかに鬼とは違うアタリが来る…
港から航程約80分、まずは餌とすべく鯖を狙うが全く釣れない。2投で船長は鯖釣りに見切りをつけた。餌は船が用意した、鯖の切り身塩漬けとなる。いよいよ鬼カサゴ釣り開始だ。「スタート・フィッシング!」 なんて合図があるとは全く知らなかったが、昨年10月から始まったBS日テレの釣り番組「照英・児島玲子の最強!釣りバカ対決!!」(日曜日21時~)で、“美人プロ・アングラー”児島玲子が、釣り開始時に発する合図だ。この番組はほとんどが関東の沖釣り、釣れるも釣れぬ相手は自然なので“やらせ”はあり得ず、楽しい。ただし児島玲子さんが美人かには異議あり。キャラクターも含めて、とっても可愛い、というのが正しい表現だと思う。
話を戻そう。本日も早潮なり。錘200号の着底はわかる。しかし海底の起伏で錘が底を離れると、激流と呼んでもいい早潮が錘を吹き飛ばし、糸が見る見る斜めに流れる。リールのクラッチを切って糸を出すが10m、20m出しても底に着かない。こういうときの対処の仕方はあるのだが、釣りのテクニック指南が本稿の目的ではないので書かない。
船長がポイントを移動する。何度目かの移動で、潮の緩いポイントにたどり着き、普通に着底し普通に釣りができる状況となった。こうなればしめたモノと思うや、早速アタリだ。竿を合わせると手応えはあるが、明らかに小さい。上がってきたのは500gほどのユメカサゴ。鬼の定番外道で、釣ったうちには入らない。6時半頃、明らかに鬼とは違うアタリが来る。ズルズルと餌を吸い込む感じのアタリが連続して2回。合わせるとかなりの引きだ。これまた鬼の定番外道、迷惑外道のサメかと思いきや、メバルとカンコの一荷。カンコはカサゴの仲間で味は悪くないが、鬼とは比べものにならない。メバルは嬉しい。型もまあまあだ。さらに7時過ぎ、やはり鬼とは思えぬアタリに竿を合わせると、メバルでサイズアップ。
本命未だでもこうして底がとれて外道が釣れているのだから、鬼も時間の問題と余裕で竿を出していると、ついに来た! 鬼らしいアタリ。しかも引きは強烈。「正林さん、自己最高記録更新かも」とその姿を心待ちしていると、海中に見えてくる魚体の色がオレンジではない。「?????」。なんと、フグ。僕は鬼釣りでフグを釣るのは初めてだが、その引くこと引くこと、たいして大きくないのに大鬼級だ。あの膨らんだ腹の抵抗でこうなるのだろうか? ガッカリはガッカリながら、巻き上げるまでの数分間は夢を見られたので高揚感は残る。
一方の正林さんは小鬼を釣ったり、小鬼を船縁でばらしたりと、得意の小物釣りに勤しんでいる。僕と釣りをする正林さんは、ほぼ決まって小サイズの数釣りをする。正林(しょうばやし)さん改め、小林(しょうばやし)さんだ。正林さんに倣い、僕にも小鬼が釣れたがリリースする。鬼カサゴは他の中深場の魚と違い、釣り上げられても浮き袋が膨らまない。放流すれば海底に戻れるので、小物はリリースするのがマナーだ。