誰にでも読みやすいユニバーサルデザインフォント
2020年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会に向け、ユニバーサルデザイン化が進められる中、日常のさまざまな場面で、誰にでも読みやすく、わかりやすい文字はすでに身の回りにも広がっている。
例えば駅の切符販売機はまさにその典型。子どもからお年寄り、日本語を学びはじめの外国人まで読みやすいユニバーサルな文字、つまりユニバーサルデザインフォント(以下、UDフォント)が採用されている。
「さまざまなメディアが生まれ続ける現代にあっても、情報伝達の基本となるのはやはり『文字』です。情報を正確に、そしてできる限りわかりやすく伝えるために、フォントデザインの分野でも、情報の伝わりやすさはより重視されるようになり、さまざまな分野でUDフォントが使われています」(モリサワ 長さん)
このような中、ビジネスの分野にもUDフォントが広がっているという。
例えば日常の業務で多用される書類は、一見、文字は同じに見えるが、細い線がかすんで見えたり、環境や疾病により文字の一部がとぎれたり、似たシルエットが判別しにくかったりする問題がある。
またフォントが違うことで受け手の印象が変わることもあるのがビジネス文書というものだ。
このような背景から、モリサワは伝えたいイメージと受け手が感じる印象を合致させること、そして正確な情報伝達のために「見やすく、読みやすい」こと意識した製品「MORISAWA BIZ+」を開発したという。
すでに、企画提案が多い商品開発部や、文章作成の多い秘書室などさまざまな企業で導入が進んでいるそうだ。
ビジネス向けのUDフォントは、公共のUDフォントとどのような違いがあるのだろうか。モリサワの長氏は次のように話す。
「今回、ビジネスシーン使っていただきたいBIZ UDフォントは、従来のUDフォントと同じデザインで、ビジネスシーンでも使いやすいよう、WordやExcel、PowerPointなどのMicrosoft Office製品で利用しやすい仕様にしています」(モリサワ 長さん)
フォント選びは、企画書やプレゼン資料などのビジネス文書の作成におけるほんの一部分。しかし少しの配慮で、読みやすく、わかりやすくなり、読み手に伝わることで、ビジネスがうまくいくということもある。フォント選びというのは意外と重要といえそうだ。
【取材協力】
株式会社モリサワ
エンタプライズ事業部事業開発一部 流通ビジネス推進課 長 武史さん
http://bizplus.morisawa.co.jp/
取材・文/石原亜香利