ビジネス文書においてフォントは意外と重要だ。フォント一つで文書の読みやすさが左右されるからだ。そうなると企画書やプレゼン資料のフォント選びも成果に影響があると言っても過言ではない。今回は、成果の出るビジネス文書のフォント選びのコツや、昨今話題のユニバーサルデザインフォントについて、ビジネスフォントを手掛けるモリサワの担当者に聞いた。
フォント選びで企画書やプレゼン資料の成果は変わる!?
モリサワフォントといえば、「新ゴ」や「リュウミン」といったフォントで知られる。一度は使用したことがあるフォントではないだろうか。この他にも、株式会社モリサワは、さまざまなフォントを手掛けている。
そんなモリサワが、ここ最近、ビジネスユースのユニバーサルデザインフォントを手掛け、フリーフォントを公開した。モリサワによると、ビジネス文書の成果はフォントによって変わるのだという。そこにはどのような理由があるのだろうか? エンタプライズ事業部事業開発一部 流通ビジネス推進課の長 武史さんは次のように話す。
「企画書やプレゼンに求められることの基本は、“相手に正確にわかりやすく情報を伝えること”です。人は情報の80%以上を視覚から得るといわれており、情報を伝える手段として文字の重要性は高いことから、読みやすいフォントを選ぶことはとても重要です。
読みづらい文字はストレスを感じる原因となり、読み進める気が起こらなかったり、読み間違いが気になって内容が頭に入らなかったりするなどの悪影響があるかもしれません。
読みやすいフォントを意図的に選ぶことは、読み手への気遣いともいえるでしょう。
また、文字には情報を伝えるだけでなく、グラフィック的な要素もあります。人の記憶に残る企画書、プレゼンの制作においてインパクトのある書体を選ぶことも大切です。
ただ、一般的なビジネス文書作成の際には、フォントの選択肢が少なく、実際にフォントを意識している方は少数なのが現状です。外部向け資料の場合、フォントにまでこだわる意識の高さをアピールすることで、ブランド力の向上にもつながるのではないでしょうか」(モリサワ 長さん)
成果の出る企画書・プレゼン資料のフォント選びのコツ
成果の出る企画書やプレゼン資料のフォント選びのコツについてモリサワの長さんは次のようにアドバイスする。
●用途によって適したフォントを選ぶ
「見出し・本文など、用途によって適したものを選ぶことが大切です。むずかしく考える必要はありません。見出しには、線の太い文字を使う、本文や注釈などの小さな文字には、線の細い文字を使う、本文にポップなデザイン書体は使わないなど、基本的なことをベースに選ぶと良いでしょう」(モリサワ 長さん)
●一資料につき3書体を目安に
「一つの資料で使用するフォントの種類は多くて3書体ほど。たくさん使うと、全体的にまとまりのない資料になってしまいます」(モリサワ 長さん)
●ゴシック体は視認性が高く読み進めやすい
「本文に細かく文字が並ぶタイプの資料の場合、文字の太さが一定で読み進めやすいゴシック体を選び、内容によっては、文字の大きさが確保できる見出しの部分に明朝体を使っても効果的かもしれません。スクリーンに映して、ある程度遠くから見てもらう場合は、全編を通して視認性の高いゴシック体が向いています」(モリサワ 長さん)