寝ながら人が行なっている【5つの睡眠ミッション】
[1]脳と体を「休息」
体温維持や心臓を動かす自律神経。昼は交感神経が活発で、食後やノンレム睡眠では副交感神経が優位となり、脳と体を休ませている。
[2]「記憶」を整理して定着
入眠直後のノンレム睡眠時に、短期記憶とその記憶の重要性を判断する海馬から大脳皮質へと情報が移動。長期記憶として保存される。
[3]「ホルモンバランス」を調整
睡眠中は多くのホルモンが働いてバランスを取り、代謝を正常化させる。食欲を抑制するレプチンは肥満や生活習慣病を予防している。
[4]「免疫力」を向上
ホルモンバランスが崩れると免疫が正常に働かず、風邪などを引きやすくなる。また自己免疫疾患やアレルギーを悪化させる危険性も。
[5]脳の「老廃物」を除去
脳を満たす脳脊髄液は、古い脳脊髄液を排出する際、一緒に脳内の老廃物を除去する。日中も行なわれるが、睡眠中は4~10倍活発化する。
成長ホルモンは成長期だけでなく一生分泌される。筋肉や骨を強化し、代謝を正常化させる。
〈DIMEの分析〉
寝てすぐに現われる深い眠り「ノンレム睡眠」が続く90分は、脳と体にとって大事な時間。その質を高める、寝る前の「コンディション作り」が重要だ。
スタンフォード大学 医学部精神科 教授
同大、睡眠生体リズム研究所 所長
西野精治氏
1955年、大阪生まれ。医師、医学博士。睡眠と覚醒を研究。過眠症「ナルコレプシー」の原因究明を専門とし、一般社団法人良質睡眠研究機構の代表理事も務める。寝具『エアウィーヴ』の開発研究にも携わる。
取材・文/成田 全(ナリタタモツ)