病気のリスクが高い時こそ適切な睡眠が必要
最初のノンレム睡眠90分間の「眠りの質」を高めることで、睡眠による様々なメリットを享受できることはわかった。では極端に短い睡眠時間で仕事をバリバリこなす、ビジネスパーソン憧れの「ショートスリーパー」には誰でもなれるのだろうか?
「ショートスリーパーは全体の1%未満くらいではないか、と言われています。実はショートスリーパーは遺伝的なバックグラウンドが強いと言われていて、親兄弟もそうである傾向があります。ですので、周りの人から『あの人、睡眠時間短いよね』と言われる人が本物ですね。自分でショートスリーパーだと言う人は違う可能性が高いです(笑)。なので誰もがなれるわけではないし、無理をすると、どちらかといえば健康被害のほうが多いでしょう」
また、がんとなり得る異型細胞はある一定の確率で出てくるものだが、正常な状態であれば除去されて増えることはない。しかし適切な睡眠をとれないと、完全に除去できずにがん化してしまうそうだ。
「昔は年をとるとあまり寝なくてもいいなどと言われていましたが、実際はいろんな病気のリスクが高くなった時こそ、適切な睡眠が必要になってくるんです。病気は睡眠も含めて、様々な生活習慣の影響を受けています。なので予防もできる可能性があるんです。また仮眠に関してですが、1時間未満の仮眠であれば、その後のパフォーマンスは上がりますし、疾患のリスクも下がります。仮眠時でも、最初に深い睡眠が出るからです。しかし帰宅時の電車で居眠りなどをすると、夜の睡眠に影響を及ぼす可能性がある。ただ、どこで良質な睡眠を取るかは個人差があり、分散して睡眠をとるようにしている人もいますので、自分の体と相談して決めてください」
■徹夜した人は判断力が鈍化
タブレット画面にランダムに出る図形に反応する時間を計測した実験。夜勤明けの医師は約90回中3〜4回、数秒間反応しなかった。