「二股ソケットって何ですか?」
こないだ30代の女性編集者にそう言われて驚いたのですが、二股ソケットといえば、パナソニック(松下電器産業)創業当時の大ヒット商品じゃないですか! ご存じですよね?
昭和世代のライター・小口でございます。「松下電器は二股ソケットで大きくなったのよ」と親から言われて育ちました。あんな大企業も小さなアイデア商品が始まりで、「千里の道も一歩から」的なニュアンスで話していたのだと思います。Appleはガレージで創業したみたいなエピソードですな。
二股ソケットとは、電球を挿すソケットが2つある照明器具です。大正時代は今のように部屋にコンセントはなく、天井からぶら下がったソケットのみでした。そこに二股ソケットを付けて、片方にソケットからコンセントに変換するアタッチメントを装着すれば、照明と他の電気製品が同時に使えるとヒットしたのです。
私が小学生の時(昭和50年代)には、家庭の電化はかなり進み、当然二股ソケットは見たことがありません。しかし、二股ソケットは今でも買えるパナソニックの現役製品で、年間10万個も販売されているとか。屋台や漁船などで使われているらしいのですが、あまりの衝撃に自分も購入してみました。
これが伝説の二股ソケット! パナソニック「1号新国民ソケット WH1031」。
パナソニックのWebサイトの商品ページ。現行モデルは1970年発売。50年近く販売されていることになる。
購入したのは「1号新国民ソケット WH1031」。一見すると、二股じゃなくて三股に見えますが、2つのソケットに加えて、コンセントが備わっています。懐かしい“ひも”のスイッチを引っ張ると、主灯(中央)のみ点灯→両方点灯→副灯(サイド)のみ点灯→オフというように切り替わります。今でこそ明るさや色温度を変えられるLED照明がありますが、同じことがこのシンプルな器具で可能です。
そして、コンセントに延長コードをつなげば、いろいろな家電製品を使うことができます。コワーキングスペースなどで、パソコン用に天井から電源タップを引いている場所がありますが、これを使えば同じことができます。考えようによっては、床に電源コードを這わすよりはスマートかもしれません。
電源タップを接続。工場やコワーキングスペースっぽくてインテリアによってはオシャレに見えるかもしれない。