働く女性にとって管理職といえば、「キャリアモデルがいない」「妊娠・出産を考えるとそれどころではない」などの理由で敬遠されがちだ。最近ではワークライフバランスを求める風潮もあり、出産や育児で管理職は後回しになることもある。しかし実際のところ、管理職の女性は「管理職、めちゃくちゃ面白い」と思っているらしいのだ。そこで女性管理職を経験したことのある女性識者に、どのあたりが面白いのかを聞いてみた。
女性の昇進意欲はかなり低い
最近の働く女性たちは管理職になることについて、どのような思いを持っているのか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「男女正社員のキャリアと両立支援に関する調査」(平成25年3月)によると、企業規模を問わず「課長以上への昇進を希望する者」の割合は、男性の一般従業員で5~6割、係長・主任は7割程度だった。一方、女性の一般従業員は1割程度、係長・主任は3割弱で、顕著に低い。
昇進を望まない理由として「自分には能力がない」「責任が重くなる」については、ほとんど男女差がなかったが、次の理由には大きな男女差が出ていた。
男性に多い昇進を望まない理由:「メリットがないまたは低い」「やるべき仕事が増える」
女性に多い昇進を望まない理由:「仕事と家庭の両立が困難になる」「周りに同性の管理職がいない」
女性は、出産・育児の大きなライフステージがあり、ロールモデルがいないというのが昇進への願望が薄い大きな要因のようだ。
しかしこれは6年前のデータであり、現在はどうなっているのかは不明だが、このような傾向はあると考えられる。
女性管理職のメリット
女性にあまり望まれていない管理職。果たして女性管理職には、具体的にどのようなメリットがあるのだろうか。ダイバーシティ・女性活躍推進の講師として、女性管理職および次世代リーダー向けに研修や講演を行っている杉浦里多さんに、管理職としての経験からメリットを教えてもらった。
1.人の成長にワクワクと感動がある
「チームメンバーの強みを引き出し、それを活かしてビジネスや組織の成長に寄与する機会をつくり、能力を発揮してもらうことができます。そうすると、『自分なんて…』と言っていた人がどんどん自信をつけて輝いていきます。つぼみから大輪の花を咲かせていくような、人の大きな変身を見ると、ワクワクと感動を覚えます」
2.より面白い仕事ができる
「管理職になると、より大きな予算や人財を獲得して、内容もスケールも面白い仕事を、みんなでできるようになります。与えられた仕事をただこなすのではなく、自分たちで面白いことをやっていくワクワク感があります」
3.自分が周りを幸せにできる
「いろんな裁量を持てるのも面白いところです。働き方も変えることができます。残業せずに早く帰る、皆で声を掛け合う、ハッピーに働けるチームづくり、環境づくりなど、働き方をリードすることで、皆が幸せになることを考え、実現していくことができます」
4.視座が上がる・視野が広がる。
「経営者視点を持つことができます。会社がどういう方向に行きたいのか分かり、自分の仕事やチームメンバーの仕事に意義を持たせられるメリットがあります。他部署などの交流も増え、視野が広がることにより、会社のリソースの理解も深まり、協働もしやすくなります。仕事の幅も成功率も上がります」