●「この上司ならわかってくれる」と思わせること
「部下は『この上司ならわかってくれる』と思えないとホンネで話すことはありません。つまり、言いたくないことを言わせるためには信頼関係が大前提なのです。そして、特に部下の不正や失敗を聞き出したいときにはいくつかのポイントがあります」
・責任を他に逃がす
会社のシステムが悪い、誰しも失敗はある…など部下に責任を意識させない。
・好かれなくてもいいが嫌われないようにする
部下に感情的に嫌われたら絶対に話さないため。
・裁く立場ではなく、一緒に問題解決をする立場であると認識させる
上下関係ではなく対等な関係であることを強調する。
・相手に敬意を払い、偏見は捨てる
上司だからといって上から目線にならない。
「これらのポイントが守られると、部下は『この上司ならきっと自分を守ってくれるだろう』とホンネを話してくれるでしょう」
いかがだっただろうか。日頃から部下からホンネが引き出せないと悩んでいる上司は実践する価値がありそうだ。森氏は次のようにまとめる。
「部下からホンネを引き出すことは非常にむずかしいことですが、特に強調したいのはやはり信頼関係です。そして信頼関係を築くのには一朝一夕では不可能で時間が必要です。日頃からマメにコミュニケーションをとって信頼関係を築く努力を惜しまないようにすること。そうするといざという時に部下もホンネで話してくれるはずです」
取材協力
森 透匡(もり ゆきまさ)氏
刑事塾 塾長
経営者の「人の悩み」解決コンサルタント(人事コンサルタント)
株式会社クリアウッド 代表取締役
警察の元警部。詐欺、横領、贈収賄事件等を扱う知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。 東日本大震災を契機に独立し、刑事時代に現場で培ったコミュニケーションスキルをビジネスで役立ててもらうために「刑事塾」という学びの場を開講。「ウソや人間心理の見抜き方」を主なテーマに大手企業、経営者団体など毎年全国180か所以上で講演・セミナー・企業研修を行い、これまで5万人以上が聴講、「究極の心理学だ!」「おもしろい!」と人気を博している。テレビ朝日「モーニングバード」、フジテレビ「ノンストップ」、読売新聞、日経新聞などメディアへの出演、掲載も多数。著書に「元刑事が教えるウソと心理の見抜き方(明日香出版社)」がある。
http://clearwoods.co.jp/
取材・文/石原亜香利