走りだせば、まずは大径タイヤが発するロードノイズの小ささに気づく。2.5Lガソリンエンジンは、CX-5同様に低速トルクがもう少し欲しい気もするが、中高回転域の伸びやかな加速、全体的な静粛性の高さと、このサイズのボディーにして軽快感ある乗り心地の向上は明らか。首都高のカーブでは路面に吸いつくようなフットワークに終始し、ドライビングは絶大なる安心感と快適感に包まれたものだった。これなら長時間の運転でもドライバーのストレスは最小限のはず。
カーブで感動できたのはフットワークだけではなかった。実は、直進時、シートバックは比較的硬めの張りのあるタッチを示しているのだが、体(背中)が動き始めると、まるで母親が子供を後から抱きしめるような優しさで包み込み、強制的にホールドするのではなく、体の動きに合わせて、まるで生き物のように柔らかく、優しくホールド。上半身の姿勢を見事にサポートし、人馬一体感あるドライビングを楽しませてくれるのだ。その心地よさ、安定感はこれまで日本車で感じたことのない快感であり、以来、カーブが待ち遠しいぐらいだったのである。
乗り心地はあくまでもフラット。乗員の目線移動が少なければ疲労度が低減するのはもちろんだ。きつい段差などのショック(音・振動)についてはプラットフォームの「時代」を感じる場面もあるにはあるが、総じてマツダのフラッグシップモデルにふさわしい快適感がある。走りの質感は一段と高まり、ロングホイールベースのセダンはフラット感が、ワゴンはマイルドさがより強調された乗り味となる。