『iPhone』や『Xperia』など、最近のスマホの多くがイヤホンジャックを廃止したため、がぜん注目度が増しているワイヤレスイヤホン。その技術的な進歩は目覚ましく、左右のイヤホン本体同士がケーブルで接続されているワイヤレスイヤホンがトレンドになったかと思えば、ほどなくケーブルのない「完全ワイヤレスイヤホン」が台頭、近い将来には後者が市場を席捲しそうな勢いで売上を伸ばしている。
今回紹介する製品は、完全ワイヤレスイヤホンの中でも、国内で金型レベルから製造されたものとしては初となるHDSS(High Definition Sound Standard)技術を搭載したモデル。従来のHDSS非搭載モデルの完全ワイヤレスイヤホンとは一線を画す性能で、熱視線を浴びている。
■イヤホンの音質を飛躍的に向上させるHDSS技術
少し専門的な話をすると、(ワイヤレスか否かに関係なく)イヤホンの内部には「振動板」(ダイヤフラム)があり、これが電気信号に応じて振動し、音波を発生させることで音として認識される。しかし、正確な音を再現するには、イヤホンの小さな筐体では不十分で、「崩れた音」が内部反響してしまい、これが振動板のスムーズな動きを妨げていびつな音を発生させる。こうしてできた再生音は、音質が低下し、聞き手の脳にストレスを与え、長時間聴いていると疲れや不快感をもよおす素因となっている。
HDSS技術には、その技術の根幹となる「ETL」と呼ばれる装置をイヤホンの内部に装着することで、「崩れた音」を吸収し内部反響するのを防ぐという働きがある。その結果、振動板が無用の音波に阻害されず、クリアな音の再生が実現される。これは、本来の音源を加工・改変するのではなく、むしろ忠実に再生するため、人の歌声でも楽器の音色でも実際の音に限りなく近くなり、これまでのイヤホンでは不可能とされた音楽体験を可能にした。
もっとも、小さなイヤホンの内部にHDSS技術を反映させるのは非常に困難で、これまでの完全ワイヤレスイヤホンには非搭載であった。それを、本製品のメーカーであるアクセスは、米国Ever Blue International社の協力のもと極小のETLを開発、1年余りの改良を経て製品化に漕ぎ着けた。
さらに、本機はBluetooth 5.0に対応し、最初の使用時にケースから本機を取り出すだけで自動ペアリングできるお手軽さ。また、片側わずか約4グラムの超軽量かつ、3サイズ(S・M・L)から選べる低反発イヤーピースで着け心地が良く、長時間の装用でも疲れない仕様となっている。
本体は2つ合わせて9グラム弱の軽さ(計量器は最小表示1グラム単位のもの)
耳になじむ低反発イヤーピースは、各色S・M・Lの3サイズ用意されている
従来の完全ワイヤレスイヤホンとの違いをまとめると、以下のようになる。