風邪を引きかけたとき、どうすれば風邪を悪化させないで済むのか気になるものだ。また、医者はどんな方法で風邪の引きはじめを対処しているのだろうか。感染症を専門とするのぞみクリニックの筋野 恵介先生に聞いてみた。
■風邪に特効薬はない。点滴に風邪を治す効果はなし
「日本人は平均して年に2~4回風邪を引くといわれています。風邪の原因は、その8割以上はウイルス感染です。季節によってさまざまですが、エンテロウイルス・ライノウイルス・アデノウイルスなどがあります。
風邪(ウイルス感染)の場合は、特効薬はありません。ヘルペスや帯状疱疹の場合には、抗ウイルス薬がありますが、風邪のウイルスに対してはありません。
早く治すポイントは、自分の免疫力を上げる、他の風邪をもらわないようにすることです。
自分の免疫力を上げる方法は、色々あります。個々に差があるので、自分に合ったものを実践しましょう」
抗菌薬はウイルスには無効・点滴では治らない!
「よく抗菌薬(抗生剤)を飲むと早く治ると思われていますが、抗菌薬は細菌に対して効果はありますが、ウイルスには無効です。点滴すると風邪が治ると思われている方がいますが、これも間違いです。点滴には、風邪を治す効果はありません」
■風邪を最短で治すための基本
1.睡眠をしっかりとる・疲労をためない・食生活をきちんとする
「睡眠不足や疲労がたまると、唾液の分泌が低下します。粘膜が乾いてしまうのでウイルスは侵入しやすくなります。そして唾液には、リゾチームやIgAという免疫グロブリンを含んでいます。これらがウイルスや雑菌の増殖を抑えます。
体内の免疫細胞は、睡眠時に最も活発に活動することが分かっています」
2.リラックスする・ストレスをためない
「いわゆるヒーリングです。音楽、アロマなど色々あります。他にもストレスが発散でき、リラックスできることがあれば何でもいいです。ただ、風邪を引いているため、無理をして行うのは避けましょう。なぜ、体にいいのかという詳しい機序は、解明されていません。しかし、ヨーロッパをはじめ、最近では日本でもコンサート、落語に行く、病院内の壁にアートを取り入れるなどのヒーリングを取り入れる病院があります」
3.不用意な人ごみへの外出は控える
「新たな風邪をもらわない、疲れやストレスをためないということです。多くの人が行きかう場所に長時間いれば、風邪を引いている人ともすれ違う可能性が高いからです」