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東京下町の魅力再発見!おとなのデートコース「湯島」

2018.06.21

 無縁坂を歩いた後は、天神下交差点に戻って、春日通りを右に曲がろう。道はすぐに「切通坂」(MAP 4)という上り坂になる。こちらの坂は、22歳の石川啄木が、朝日新聞での夜勤を終えて、最終の市電で上野広小路までたどり着き、そこから本郷の住まいまでトボトボ歩いて帰った道。坂の途中には、啄木の「二晩おきに、夜の1時頃に切通の坂を上りしも、勤めなればかな」という歌の碑が建っている。

 この歌碑のすぐ上が、学問の神様、菅原道真を祀った1355年創建の湯島天満宮(MAP 5)だ。江戸時代には、境内で行なわれる「富くじ」目当ての客で大変な人出だったという。「富くじ」興行は江戸全体で年間約120回行なわれていたが、ほかは一等賞金が百両なのに対し、湯島天神の賞金は千両(今の約8000万円!)。その賞金の高さゆえ、江戸一番の人気を呼んだそうだ。神社の門前には、富くじ客相手の私娼のいる茶屋が集まり、ことに男娼のいる「陰間茶屋」と呼ばれる茶屋が有名だった(昔の湯島は、今の新宿2丁目だったんですね)。

 また、湯島天神は、江戸時代から梅の名所で、今も、境内や周辺には300本の梅が植えられ、3月には多くの人を集めている。また近くに東大があることもあり、合格祈願やお礼詣りの学生も多い。 

 湯島天神の周辺には、明治・大正を感じさせる木造家屋がたくさん残っており、そうした家屋をそのまま利用した飲食店も多い。例えば、切通坂を上った所には、夏目漱石が通ったすき焼き屋『江知勝』(MAP 6)、坂上の門前通りの脇には、1948年創業の料亭が改業した一軒家のうどんすき専門店『満川』、天神前の石段「男坂」の下には、三代つづく魚屋による味噌漬け専門店『よろずや』(こちらはテイクアウトのみ)がある。

 が、デートで立ち寄るなら、東京一の居酒屋として誉れ高い、切通坂下の名店『シンスケ』(MAP 7)がいいだろう。この店、酒屋で7代、居酒屋になってからも4代続く老舗で、平成に入って建物は近代的なビルに建て替えられてしまったが、1階の入口を木の格子で囲い、縄のれんと杉玉を下げ、店構えも店内も、昔のたたずまいを残している。料理の美味さは折り紙付きだ。

 この店で正統派居酒屋の雰囲気に浸ったら、お次は天神下交差点を挟んで反対側の池之端エリアに足を運ぼう。ここはかつて東京に28か所あった花街の一つ。今も、大小のラブホ、キャバクラ、フィリピン・パブなどが密集し、旧花街っぽい猥雑な雰囲気が漂っている。そして、そうした猥雑な街の中に、三島由紀夫が通った『琥珀』を初め、『カドヤ』『道』『アベ』などなど、格調高い正統派バーがひっそり隠れているのが、この街の最大の特徴。

 中でもデートで入るべきは、『琥珀』出身の名バーテンダー渡辺昭男の店、『EST!』(MAP 8)だろう。『シンスケ』が東京のNo.1居酒屋なら、こちらは東京のNo.1バー。No.1の連打に、彼女が君を見る目もきっと変わるに違いない。

 バーを出たら、「まあ周りにこんなにたくさんラブホがあるなら、しかたないから、一軒寄っておくか」という顔で、近くのラブホに入ろう。湯島散策で昼間から派手なラブホの看板をさんざん見てきた彼女は、いい加減感覚がマヒしているはずだ。意外とスンナリ入れるに違いない。

『シンスケ』

『シンスケ』
東京屈指の居酒屋。箸袋に書かれた「正一合」というキャッチフレーズは「日本酒を正しく一合量って売っています」の意。いかにも大正時代(1925年開業)から続く名店という感じだ。
◆電話:03・3832・0469 ◆住所:文京区湯島3-31-5

『EST!』

『EST!』
現役最高と謳われる名バーテンダー、渡辺昭男が1973年に風俗街の真ん中に開いた店。店名はイタリア語だが構えはドイツ風。後ろの棚はドイツの農村の農具入れがモチーフ。
◆電話:03・3831・0403 ◆住所:文京区湯島3-45-3

取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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