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東京下町の魅力再発見!おとなのデートコース「芳町」

2018.06.10

 人形町は、第二次大戦の東京大空襲で、人形町通りの隅田川側が焼け、日本橋側が火災を免れた。ところが、バブル期に不動産屋が焼け残った側の古い家を片っ端から地上げして建て替えたため、今では、終戦後にいち早く木造家屋が建った隅田川側のほうが古びていて、焼け残った側がまるで空襲に遭ったように変わってしまう、という皮肉な状態になっている。

 今度はその空襲で焼けてしまった側に渡ってみよう。人形町通りを渡った先に、浜町方向に伸びる「甘酒横丁」(MAP 4)がある。明治初期、入口に「尾張屋」という甘酒屋があったことから「甘酒横丁」と呼ばれるようになったこの通り(今でも、「双葉」という豆腐店の店先で甘酒を飲むことができる)。横丁と呼ぶにはあまりに広いこの通りこそ、人形町のメイン・ストリート。

 東野圭吾は、人形町を舞台にした『新参者』の中で、甘酒横丁のことをこう書いている。

「洋服店に飾ってあるのは中高年女性をターゲットにした商品ばかりだし、昼間は爪楊枝で歯を掃除しながら歩くサラリーマンが歩道を占拠する。唯一の取り柄は、昔ながらの江戸情緒が残っている点だ」

 確かにその通りだが、実は、その「唯一の取り柄」こそ、最大の魅力なのだ。甘酒横丁から脇に入れば、下町らしい町屋が軒を並べる細い路地が縦横に走っているし、ちょいと太い路地には、花街らしい呉服、帯、履き物の店。また、町のそこここに、三味線の「ばち英」(MAP 5)、葛籠の「岩井つづら店」(MAP 6)、舞扇の「京扇堂」(MAP 7)、毛抜の「うぶけや」(MAP 8)といった、覗くのも楽しい専門店が点在。さらには、佃煮の「ちとせ」、魚貝の味噌漬けの「浜乃院」、牛鍋の「今半」「日山」、寿司の「喜寿司」、せんべいの「草加屋」、鯛焼きの「柳屋」などなど——江戸を感じさせる店がこれほど多ジャンルにわたって集中した街は、他に例を見ない。大人のカップルがそぞろ歩くには、うってつけの街と言える。

 さて、甘酒横丁を浜町方向に進むと、道路の真ん中をベルト状に緑の公園にした「浜町緑道」(MAP 9)と交差する。この公園は1965年まで隅田川につながる浜町川だった場所を埋め立てて作られたもので、緑道とその両脇の街並みはパリのモンマルトルを思わせる佇まい。こちらもまた大人の散歩の絶好の目的地だ。

 この緑道の先から町名は「浜町」に変わり、100mほど進むと清洲橋通りにぶつかる。交差点の左角が、歌舞伎公演も行なわれる「明治座」(MAP 10)。そしてこの劇場の経営元は、最初に紹介した料亭の「濱田家」だ。濱田家から明治座まで。いささかミタパンに寄りすぎた感もあるが、それが芳町散歩の正しいコースだ。

『岩井つづら店』

『岩井つづら店』
甘酒横丁に面した、江戸末期創業の「つづら」専門店。つづらとはつるで編んだ蓋付きの箱。昔から衣服を入れるための箱として重用されてきた。専門店は、今はこの店も含めて全国で2店のみ。店内で竹籠に和紙を貼って作っている。
◆電話:03・3668・6058 ◆住所:中央区日本橋人形町2-10-1 ◆9:00〜18:00 日祝休

「浜町緑道」

「浜町緑道」
江戸初期に開削された掘割「浜町川」を暗渠にした公園。甘酒横丁との交差点の、昔は蠣浜橋という橋だった場所には、この町に「中村座」「市村座」という歌舞伎小屋があったことを記念する弁慶像と冠木門が建っている。

「明治座」
明治6年(1873年)開場の東京屈指に古い劇場。

取材・文/ホイチョイ・プロダクションズ

※記事内のデータ等については取材時のものです。

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