職場のヒーローになりたい。ビジネスパーソンなら、誰もが一度は思ったことがあるのではないだろうか。
では、ヒーローとは一体どんな人物なのだろうか?
文武両道・容姿端麗。コミュニケーション能力も高く、異性にモテモテ。精神力も体力もずば抜けていて、落ち込んでもすぐ立ち直る切り替えの早さ。常に明るくポジティブで思いやりがあり、上品で遅刻もせず、いつも白い歯を出して笑顔……。
……こんな完璧人間を想像するかもしれないが、それは間違いだ。というか、いたら結構ムカつくのではないだろうか。
今回ご紹介するDCコミックのスーパーヒーローは、大きな欠点やコンプレックス、トラウマを抱えているのが共通点。ちゃんと人間らしい弱さも持っており、それこそが彼らの類稀な魅力に繋がっている。人を惹きつける“職場のヒーロー”になりたい方は、ぜひヒントにしてほしい。
■『LUCIFER/ルシファー』
この3名の中で唯一人間ではないのだが、一番人間味がある(?)のが『LUCIFER/ルシファー』の主人公で悪魔のルシファー・モーニングスターだ。
1988年から1996年まで続いたDCコミックスの『サンドマン』に登場するキャラを主人公に迎えたスピンオフ作品。
シーズン3のラストではクリフハンガーをふんだんに入れたため更新がかなり期待されたが、残念ながら先日打ち切りが正式に発表された。しかし、個人的には面白さに自信をもってオススメできるドラマだ。
ジャンルとしては、“ファンタジー×犯罪捜査×コメディー”。派手なアクションシーンは比較的少ないが、ウィットに富んだ軽快なセリフがとても楽しい。
悪魔らしく、お酒と女が大好きで誘惑が得意。反面、嘘つきが大嫌いで正義感が強く、繊細で子どもっぽくて優しい。肉欲は知り尽くしているが、恋は未経験……というアンバランスなキャラクターがたまらなく魅力的だ。
聖書に記されている通り、主人公のルシファーは、父親である神様によって天国から追放され堕天使となった。以降、地獄の王として悪人の魂を裁く“閻魔大王”のような仕事をしていた。しかし、それは大変辛い仕事で、ルシファーはついに耐えられなくなってロサンゼルスに逃亡する。高級クラブ“LUX(ラックス)”を経営しつつ酒池肉林の日々を送っていたが、ある事件がきっかけでロサンゼルス市警察の刑事クロエ・デッカーとバディを組むことになる。“人間の欲望を引き出す”悪魔の特殊能力と強い正義感を活かして、ルシファーは犯罪捜査に貢献していく。
ハイブランドのスーツに身を包み、高級車を乗り回すリッチなアラフォー男性に見えるが、中身はとても子どもっぽい。というか、そもそも人間ではないので一般的な大人と比べるとチグハグな性格をしており不思議な男性だ。
一見明るくて自信ありげだが、意外といつもウジウジと悩んでいる。トラウマとコンプレックスも人一倍強いようだ。しかし、クロエを初め周囲の人からは何だかんだ信頼され、愛されている。
その理由は、ズバリ“根がいい人だから”。そして、やる時はやる男だからだ。刑事として様々な人間と向き合ってきたクロエをはじめ、幼い娘のトリクシーやカウンセラーのドクター・リンダには、そんなルシファーの本質がちゃんと伝わっているのだろう。