フリーランスには、仕事を受ける企業とのギャラ交渉の機会がしばしば訪れる。しかし正直、ギャラ交渉が苦手という人もいるかもしれない。そこでフリーランスにとってのギャラ交渉の必要性や、ギャラ交渉のコツ、注意点などを一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 事務局の宮本聡氏に聞いてみた。
■フリーランスにとってギャラ交渉はなぜ重要か
フリーランスにとって、ギャラ交渉はとても大事だという。その理由について宮本氏は次のように話す。
「フリーランスにとって、自分の提供価値に対する正当な対価を意識しておくことはとても大切です。ギャラ交渉というプロセスは、自分の評価と他人の評価の認識をすり合わせる重要な場となり、正当な対価を知るのにも役立ちます。新規受注時だけでなく、継続取引の際にもできれば定期的に交渉はしたいところです」
ちなみにフリーランスにとっての正当な対価は、単に技術だけでなく、時間の使い方によっても変わってくるという。
「フリーランスは、時間に対する時給ではなく、パフォーマンスに対する報酬をもらっています。短い時間で高いパフォーマンスを上げれば、それだけ自分の時間単価を上げることができます。そういう意味では、フリーランスは時間を切り売りしているわけではないものの、時間の使い方は、常に機会損失と隣合わせでもあります」
■損しないギャラ交渉のコツ
そこで宮本氏に、フリーランスがギャラ交渉をするときに損しないためのコツを教えてもらった。
1.自分の時間単価や仕事を受ける軸を明確にしておく
「“時間単価●●円以下の仕事は受けない”など、仕事を受ける軸を明確にしておくことで、失敗が少なくなります。ただ、必ずしも金銭的報酬が見合わなくても、経験・実績・人脈・やりがいを報酬として戦略的に受けるのはありです」
2.まずは相手の予算感を把握する
「交渉時には、まず相手の予算感を把握して自分のできる範囲を考えます。相手の希望予算がFixしている場合は、稼働時間や業務内容を制限して、時間単価を適正にして引き受けることが大切です」
3.見積書には希望の支払いサイトなども明記
「見積書には、業務内容や納品物や成果物のことだけでなく、こちらの請求書発行タイミングや希望する支払いサイト(翌月末払いなど)も明記しておくと認識違いを防止できます」
4.業界相場や単価一覧などの資料を用意する
「参考資料として、業界相場、仕事内容別の単価一覧表、工程ごとの単価・想定工数などを用意しておくのも有効です」
5.条件提示の期限(見積期日)を切る
「こちらから金額や納期などの条件を提示した後、相手に検討してもらっている間も、こちらのリソースを空けておく場合は機会損失が発生します。期限を設けて、この日までに見積もりの回答をください、と伝えるといいです」
6.短期契約で期間満了後に交渉する
「金額が見合わない場合は、まずは1~3ヶ月程度の短期間で契約を結び、契約期間満了時点で価格を再交渉するステップを踏む方法も。実際に、相手に価値を感じてもらった後のほうが、価格交渉しやすいのは事実です」