■連載/阿部純子のトレンド探検隊
◆創業133年を迎えたフルーツ専門店「新宿高野」
新宿駅開業と同じ明治18年(1885年)にフルーツ専門店として創業した「新宿高野」は、今年開業133年を迎えた。
「家族経営である当社は、代々“吉太郎”を襲名しており私で四代目となる。新宿はフルーツと縁が深い場所で、明治時代の新宿御苑は、さまざまな植物や野菜、果物の栽培、研究を行う農業試験場第1号だった。海外からも多彩な果樹が入ってきたが、新宿御苑で生まれたのがマスクメロン、ぶどうの女王と呼ばれるマスカット オブ アレキサンドリア、日本の苺の原型である福羽苺、ふじりんごで、新宿から全国の試験場に伝えられていった」(新宿高野 髙野 吉太郎社長)
新宿高野では生のフルーツ、フルーツを使った加工商品、フルーツパーラー、フルーツカルチャースクールなど、フルーツのさまざまな楽しみ方を提案している。店舗を貸し切って開催された「新宿高野 2018年春・夏フルーツコレクション」では、ピーチ、マンゴーなど旬のフルーツや、フルーツを使ったオリジナルスイーツなどの紹介、内覧・試食が行われた。
◆フルーツケーキ
新宿高野でも人気の高い商品がフルーツを使った生ケーキやスイーツ類。試食会では新発田 道パティシエによる、オーダーメイドケーキの実演コーナーも。オーダーメイドのデコレーションケーキは4号~14号まで幅広く対応している。実演では30㎝×30㎝の10号サイズ(約20~30名用)のケーキを披露。いちご、メロン、マンゴー、オレンジ、キウイフルーツなどがふんだんに使われ、高度なフルーツカット技術を生かした、見た目も鮮やかなまさにフルーツケーキの集大成だ。
「我々はケーキ、ジャム、パン、サラダなどいろいろ手掛けているが基本はフルーツ。フルーツ屋が作るものなのですべてがフルーツにこだわっている。ケーキの専門店ではなくフルーツケーキの専門店であり、美しいケーキが世の中に多くある中では私たちのケーキではファッショナブルではないかもしれないが、フルーツを召し上がっていただく一番おいしい条件で作っている。本店では、生クリームは植物性ではなく動物性を使用。フルーツも植物なのでクリームが植物性だと同時に溶けてしまい味が混同してしまう。動物性クリームだとフルーツの味が来たあとにクリームが口の中で溶けていく。また、カステラは有名店のような、なめらかで気泡のないカステラではなく、あえてざらついた気泡があるものにしている。フルーツは水分が多く、気泡を粗めにしておくと果汁を吸収してカステラがおいしくなるため」(髙野社長)
華やかなケーキが並ぶケースは見ているだけで気分が上がる。人気ベスト3を紹介すると、1位「フルーツロワイヤル」(2つ並ぶ画像の右側・594円/税込以下同)、2位「ガトーフレーズ」(同左・669円)、3位「マスクメロンシュークリーム」(410円)。