【あの頃これが欲しかった!懐かしのPDA大図鑑】
インターネットによって世界とつながり、新たなテクノロジーが未来を感じさせてくれた。続々登場する新製品に、わくわくしっぱなしだった1990年〜2000年代。心から憧れ、物欲をかき立てられた懐かしのガジェットを、専門家と愛好家が振り返る。
ITジャーナリスト・法林岳之さん(左)
長くモバイル業界の第一線で活躍し、PCからスマホまでガジェットへの造詣が深い。@DIMEの人気連載「スマホ会議」でもおなじみ。
テックライター・太田百合子さん(右)
未来を感じさせてくれるデバイスが大好物のデジタルガジェット愛好家。趣味はクラウドファンディングウオッチ。本誌スマホ記者。
懐かしのガジェット大図鑑【 PDA編 】
タッチディスプレイも、モバイルデータ通信もすべてはここから始まった。今のスマホに通じる、手のひらに収まるデバイスに憧れた。
◎それは「電子手帳」から始まった……
太田 最初に触れたガジェットって、何か覚えてますか?
法林 電卓に電話帳やカレンダーを付けた、シャープの「電子手帳」かな。学生の頃の憧れだった。
太田 ありましたね! 今の電子手帳とはだいぶ違うけど。
法林 それが進化して、93年の『ザウルス』登場につながるんだけど、実はシャープはそれより前にアップルのPDA『Newton』も手がけていたんだよね。手書きの文字入力もそうだけど、パソコン通信ができたし、コンテンツサービスの「シャープスペースタウン」が使えたりと、今考えても『ザウルス』シリーズは、革新的なデバイスだったと思うよ。
太田 そして90年代後半には、Windows CEやPalm OSも流行しました。
法林 のちにドコモから発売された『sigmarion』のベースとなった『モバイルギア』や、『カシオペア』、HPの『Jornada』といった、QWERTYキーボード搭載のWindows CE機が人気だったね。
太田 それらとPHSがつながるようになって、ウィルコムから発売される『W-ZERO3』へと継承されていくんですよね。
法林 一方で、同じキーボードを搭載したデバイスでも、ドコモの『ポケットボード』は、実は女性層から人気に火が付いたんだよね。
太田 当時はインターネットが普及し始めた頃。まだiモードは始まっていなくて、みんな出先からメールを使いたくて、わざわざ専用端末を買ってたんですよね。
◎Windows CEと人気を二分したPalm OS
法林 スタイラスペンを使うPalm OSも人気だった。僕が最初に買ったPalm機は英語版。開発者の知り合いが日本語化するためのツールを作ってくれたから、それを入れて使ってた。あの頃はそういったユーザー間のコミュニティーも、充実してたよなぁ。
太田 2000年にはソニーも『CLIE』を発売しています。私も持ってましたけど、Palm OSって文字入力に独特の「Graffiti」って書き方があって、それがなかなか覚えられなかったです。
法林 確かに文字入力も今ほどカンタンではなかったけど、Palm OSはとにかく動作が軽快だった。携帯電話の進化などもあって、廃れてしまったのが残念だね。
[1994年]スマホにつながる機能を備えた伝説の国産PDA
シャープ『ザウルス PI-4000』7万5000円(発売当時)
93年に登場した初代ザウルスの『PI-3000』から、記憶容量を倍増したのが、この2代目。次の『PI-5000』シリーズでは、早くも携帯電話に接続できるデータ通信対応モデルが登場。その後、パソコン通信やPCソフトとの連携も可能になる。
〈 法林’s Comment 〉電子手帳時代から愛用していた思い入れ深い端末。手書き文字認識は画期的だったね。