中学、高校の野球はともかく、プロになると「強打者の投手」というのは滅多に出てこないし、そのような選手を育てる必要もない。その上、現代野球の投手は先発、中継ぎ、抑えと分業が確立されている。投手としても打者としても優秀な「二刀流」というのは、中途半端な結果しか生まない。つい最近まで、そう思われていた。
しかし、大谷翔平がその認識を変えた。彼の二刀流はメジャーリーグでも疑問視されていたが、今やその成果を疑う者はいなくなった。2018年5月14日時点での投手成績は6登板3勝1敗防御率3.58、打者成績は打率.348本塁打5本。こんな選手は、メジャー史上でもほとんどど例がない。
ところで、試合中の大谷の「ある部分」に気をかけている人も多いのではないだろうか?
彼だけ長袖のアンダーシャツを着ている、という点だ。
■国内ブランドの製品
もっとも、大谷が着ているのは長袖のシャツではない。あれは上着とは独立したスリーブである。
国内スポーツ用品メーカーのデサントが製造したもので、腕に適度な着圧を与えることでパフォーマンスを向上させるというコンセプトの製品だ。しかもこのスリーブ、国内クラウドファンディング『Makuake』でキャンペーンを展開している最中だという。
「澤田さん、よかったら今度プレス発表会があるので、見に行きませんか?」
デサントのスタッフにそう声をかけられ、その日のうちに発表会の招待状をメールでもらった。
さて、発表会当日。会場入りした筆者は、デサントのブランド『SKINS』のスタッフ林篤弘氏と対面。挨拶もそこそこに、今日は大谷翔平のあのスリーブを見に来ましたと林氏に告げる。筆者の目当ての『SKINSワンスリーブ』は、ちゃんと会場にも展示されていた。
「じつは、現時点でも大谷選手の意見を取り入れながらところどころを改良しています」
どうやら今ここにある製品は、プロトタイプの段階らしい。Makuakeのキャンペーンページをよく見ると、出資者への配送は2019年1月とある。かなり先の話だが、それまでに製品版の最終設計を固めるということか。