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スマート技術で「6次産業」へと進む次世代農業の未来

2018.05.22

さらに、スマートグラスを使って農作業を指導したり専門家のアドバイスを受けられる「Remote Action」も開発するなど、様々なデバイスとの連携で生産者をサポートするサービスを提供していくとしています。

ドローンを使った農薬や肥料の散布もいよいよこれから本格化しそうです。背景には重たい荷物を積んでも安定して飛べる機体が開発されていることや、指定したエリアをムラ無く全て自動で散布できる完全自律型の飛行システムが登場しているからです。その一つ、XAIRCRAFTではスマートフォンで指定したエリアを自動で散布できる「Pilot Phone」というシステムをドローンとあわせて開発しています。

散布作業を完全に自動化するには最初にエリアを設定する必要があり、その作業がかなり面倒だったそうですが、それらを自動で計測できるドローンや計測システムもあわせて開発中とのこと。複数のドローンを1台のスマホでコントロールできるので、作業が一気に効率化されそうです。

中国のメーカーが開発している植物にタッチするだけで健康状態を調べたり、種類を調べたりできるデバイスは、お肌の状態をチェックするセンサー技術を応用して作られています。植物の種類を判断するデータベースはすでにあるそうで、現在はデバイスの使いやすさやどのようなニーズがあるかを調査しているところだとのことでした。

会場全体で最も目についたのが、土を使わずにLED照明と水だけで植物を育てる水耕栽培に関連する技術や設備の展示です。室内でも新鮮な野菜が育てられる水耕栽培は以前からありますが、水質やLEDの色をIoTと連動させてさらに自動化するアイデアが登場しています。農作物の種類や成長度、色づきなどは照明が大きく影響するため、何万色を再現できるスマート照明を使うだけでも効率が上げられるのだとか。

アメリカではトレーラーやコンテナの中に水耕栽培を設けて、移動しながら育てた出来立ての野菜をお客さんに届けるというビジネスが登場していますが、日本でもそうしたサービスが登場するかもしれません。

農林水産省の調査によると49歳以下の新規就農者は3年連続で2万人を超えているそうですが、農業のスマート化で今までとは違う分野から農業に興味を持つ人たちが増えたり、ITを活用したスタートアップがもっと登場するようになるかもしれません。

文/野々下裕子

フリーランスのライターとしてデジタル業界を中心に、国内外の展示イベント取材やインタビュー記事を執筆するほか、本の出版(電子書籍含む)企画、編集、執筆などを手掛ける。注目分野はロボティクス、AI、自動運転自動車、デジタルヘルス、ウェアラブルほか多数。https://twitter.com/younos

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