クラウドやAI、IoTを活用した”スマート化”が様々な分野で進んでいますが、農業の世界にもスマート化の波が押し寄せているのをご存じでしょうか? 生産物の価値を高めるためにIT技術や工場システムを活用する「スマート農業」を実施するデバイスやサービスが登場し、さらに2次産業や3次産業の手法を取り入れて「6次産業化」する動きも進んでいて、農業の現場が大きく変わろうとしています。
先日大阪で開催された、農業をテーマにした西日本最大の展示会「関西 農業ワールド」では、そうした次世代の農業を支える様々な技術やサービスが紹介されていました。
美味しい野菜や果物を育てるには温度や湿度をモニタリングして、与える水や肥料の量を的確にコントロールする必要があります。これまでのモニタリング作業は、長年農業を続けてきた経験やカンを頼りにしていましたが、今ではIoTデバイスを使って正確に計測できるようになっています。自動車部品の開発でおなじみのBOSCHが開発した「Plantect」は、農作物を育てるハウス内の温度や湿度をはじめ、陽射しの量などをモニタリングし、さらにAIを使って病害が出そうな状況になっていないかを54時間先まで予測してくれます。
ワイヤレスなのでどこでも設置しやすく、データはスマホで確認できるようになっています。
IoTデバイスの代わりにドローンを使って観測するという技術も開発が進められています。AIやIoTのプラットフォーム開発を手掛けるOPTiMでは、空の上から農地や養殖場を監視できるドローンを開発。生産物や監視する範囲にあわせてマルチコプタータイプと固定翼タイプを使い分けられるようになっています。撮影したデータはクラウドにアップロードされ、AIを使って作物の成長状況や病害虫が発生していないかなどを分析します。
OPTiMでは同じ技術を地上を走るドローンにも応用しています。搭載されたパノラマカメラからのデータを分析し、ハウス栽培している農作物の個数を数えたり熟度判定などを的確に判断できるシステムを開発しています。