今回は鎌倉の海岸線周辺で「R-Dynamic HSE 2.0」の「P250」を走らせた。メーターの視認性はもちろん、運転席正面のヘッドアップディスプレイのカラー表示がまた見やすくていい。視界についてはサイドミラーとAピラー(フロントウインドウ左右の柱)がつくる死角が少々気になったが、デザインの個性と視認性のバランスを考えれば“あえて言うなら…”というポイントだ。実は、それ以外に気になる点はほとんどなかった。
駐車スペースから通りへと『E-PACE』のP250を走らせると、独特の質量感“濃厚”な動力に頼もしさのみならず、豊かさすら感じられた。レザーのバックでもその革質によって独特に重さが“らしさ”として満足できるような、「なるほど」という感覚。街中~有料道路を走らせる速度での加速は正直、十二分で、私は途中から走行モードをエコモードに切り替えたほど。
ただし、獰猛なわけではない。高速道路やアップダウンのあるワインディングでは欲しいトルクを思い通りに与えてくれた。ただ、街中ではエコモードが優しく感じられる。
フラットな中にしっとりとした乗り心地が得られる上質な居心地の良さもいいし、静かだ。
そんな中で魅せてくれたハンドリングの1シーンが今回はとても印象に残っている。海岸線を走る緩やかな坂とコーナーを駆け上がるときの四輪のドッシリ感と、しかしスムースなコーナリングの質というか、ジャガーのドライブフィールのセンスが見えた気がしたのだ。このサイズとこの調子なら九十九折のコーナーを軽快に走ることも期待ができる。が、緩やかなカーブで操作したハンドルのしっとりとした手ごたえ、僅かにアクセルペダルを踏み込んだ時のリニアで厚みのあるエンジントルクが生む『E-PACE』の運動性能の頼もしさと気持ち良さが一瞬で見えた気がしたのだ。
コンパクトSUVの『E-PACE』は後席もラゲッジスペースもこのサイズにして十分な実用性を持つ。価格は451万円~。これまでジャガーに憧れを抱いていた人、またSUVに興味を抱いている人にとって、身近に感じられるチャンスかもしれない。
■関連情報
https://www.jaguar.co.jp/jaguar-range/e-pace/models/e-pace.html
文/飯田裕子(モータージャーナリスト)