働き方改革を「音環境」から行う取り組みがはじまっている。その一つの例として、さまざまなオフィスで取り入れられているハイレゾ音響空間「KooNe(クーネ)」は、コミュニケーションや集中力UPの効果が期待できるという。導入する企業の事例と共に、そのしくみや可能性を探ってみた。
■なぜハイレゾ音源がコミュニケーションに好影響を与えるのか
「KooNe(クーネ)」という株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント(以下、ビクターエンタテインメント)が提供している音響システムは、無意識に感じる高周波成分を含むハイレゾ音質の自然音源を、独自の空間音響デザインと音響チューニングを施した空間に届けることで、居心地の良い空間を創造するもの。
森や川、波などの自然の音が人を優しく包み込むような環境を創り出す、独自のスピーカー配置が特徴だ。
このKooNe、オフィスなどに導入した場合、ハイレゾ音源の効果でコミュニケーションが高まるという。いったいどういうことなのか。ビクターエンタテインメントのKooNe担当者に聞いてみた。
「ハイレゾ体感時における自律神経のモニタリングで、“精神的なプレッシャーがある時(計算)”、“音のない会議室で安静時(安静)”、“ハイレゾ自然音がある会議室で安静時(ハイレゾ)”の各状況下で心拍数と自律神経の比較をしたところ、心拍数は3 郡いずれも安静時よりもハイレゾ時に有意に低下、さらに自律神経は安静時よりハイレゾ時に典型的なリラックス傾向を示した、という結果が出ています。このハイレゾ音源によるリラックス状態を生み出すというKooNe環境が、一般的なオフィスの音環境に比べコミュニケーション向上につながっていると考えられます」
「また音が優しく伝わる間接音設計のため、一般的なBGMのように音が直接頭上に降り注ぎ、会話を妨げるというようなことが無い点も、スムーズなコミュニケーションを生み出していると考えられます」