素人がネットで情報を集めようとしてもどうにもならない世界だと思い、馴染みの美容室のI店長の意見を訊いてみることにした。すると「シャンプーが3000円を越えれば、間違いなく一般商品との違いを実感できますよ」とのお答え。店長お二人が異口同音に“3000円以上”と言うからには、やはりここには何かがある。ではお勧めはと尋ねると「僕が使っているブランドは、泡が立ちません。そこに違和感がなければ」と言われ、60年近くシャンプーは泡立つものと思ってきた僕にはピンと来なかった。
そこで例のワイン会で、青山のK店長にお勧めを尋ねたところ、「髪の毛をどういう状態にしたいのでしょうか」と質問された。この時はハリとかコシという概念はなかったので、「まとまる髪の毛にしたい」と答えた。僕のヘアスタイルは長めなので、髪が伸びてくると量が増えることもあり、どうしてもまとまりにくくなる。髪が広がって、望まないボリューム感がでてしまうのだ。逆に髪の量が少ない人なら、髪が広がるボリュームアップ感を求めるのだろう。
K店長が僕に勧めてくれたのが、1978 年に生れたAVEDA(アヴェダ)の「スムーズインフュージョンシャンプー」(税込3132円)と「スムーズインフュージョンコンディショナー」(税込3200円)だ。公式サイトの商品説明を見ると、どちらにも“まとまりにくい髪用”とある。現在は長めのヘアスタイルだが短かった時期もあり、その時はまとまるもまとまらないもなかったので、僕の髪質がまとまりにくいかどうかは不明だ。現在はカットしたてからしばらくは問題ないが、ある程度伸びてくると膨らみがちになる、という状況。だから厳密にいうと“まとまりにくい髪”ではないのかもしれない。だが望んでいるのは伸びてもまとまる髪なので、そうなると“まとまりにくい髪用”がお勧めとなるのだろう(以上、理屈っぽく失礼)。
AVEDAスムーズインフュージョンシャンプー&コンディショナー
ちなみAVEDAには男性用として「アヴェダ メン ピュアフォーマンス シャンプー」(税込3996円)「同 コンディショナー」(税込4104円)があり、ともに“コンディションを整え、潤いあるいはツヤを出す効果”を謳っている。メンズがありながらも、僕のリクエストに対するK店長のお勧めは、女性用(というよりユニセックス)の「スムーズインフュージョン」シリーズというわけだ。
さてここからは、何よりも肝心な使ってみての感想。正直、たった1回の使用でここまで効果を実感できるとは驚いた。目元のハリや肌の艶などをその効果とする顔に使うコスメは1回どころか、1ヶ月、いや3ヶ月使い続けても効果を実感できるかどうかわからないと僕は思っている。その効果に肯定的なのは、僕が年相応に(ありがたい意味で)見えないのは、20年以上使い続けたコスメの効果だと確信しているからだ。ただしその効果を実感するようになったのは、少なくでも3ヶ月後や半年後ではなく、もっと長く使ってからだ。顔コスメは、「継続は力なり」だと思っている。
だがシャンプーなら、たったの1回でわかる。ジムのシャンプーで洗髪後に乾かした状態の髪の“体積”を10とすると、AVEDAは7くらい。これが9程度の実感なら気のせいや思いこみかもしれないが、10対7となると明らかだ。ロレアルのようなハリ・コシは感じないが、髪の毛がしんなりと内側(頭方向)にしなだれかかってくる。ハリ・コシを剛とすれば、柔のイメージ。今の僕のヘアスタイルは長めとはいえ、あくまでも長めで長髪ではない。長くなるとまとまらなくなり、うっとうしくなり、カットに行く。でもこのシャンプーがあれば、もう大丈夫。秘かにやりたかった、学生時代の長髪再現(Deep Purple 全盛時のイアン・ギラン級)も可能だ。
AVEDAは約3000円で容量250ml。ドラッグストアで売っているメンズのシャンプーはいろいろあるが、大雑把に言って500円〜1000円で、容量は250mlの2〜3割増くらい。AVEDAの価格は、一般商品の5〜6倍くらいになる。この価格差をどう捉えるかはそれぞれだが、髪の毛に何らかの不満や悩み、あるいはこだわりのある人は、しかるべき信用できる人に相談して、自分に合ったオーバー3000円シャンプーの世界を体験することをお勧めする。ただし、注意点が2点。その1はまず元に戻れなくなること、その2は奥様が一般商品をお使いの場合は、まず間違いなく揉め事が起きることだ。
なお、トリートメント、コンディショナー(そしてリンス)は、それぞれ別な商品ジャンルとなる。だが本稿で紹介した「ロレアル プロフェッショナル」セリオキシル・シリーズにはコンディショナーはラインアップされず、AVEDAのスムーズインフュージョン・シリーズにはトリートメントがない。よってシャンプーと対になる商品としては、かたやトリートメントを、かたやコンディショナーをご紹介したことをお断りしておく。
文/斎藤好一
元DIME編集長。釣り、ロック、オーディオ、ワイン、車、旅行、ファッション、コスメ、まるで『DIME』のごとく多彩に興味津々。