JR東日本が2017年5月に運行を開始した「TRAIN SUITE(トランスイート)四季島」。高級ホテル並みの寝台設備と接客サービス、沿線の高級食材をふんだんに使った一流シェフによる極上グルメ、厳選された観光スポットの訪問という3拍子を揃えた、同社を代表する豪華クルーズトレインだ。
列車は10両編成で「展望車」が両端に各1両、1両に3室が配される「スイート」が5両、他に「デラックススイート」と最上クラスの「四季島スイート」、「ダイニングカー」、「ラウンジカー」で構成される。
従来の鉄道車両の常識を打ち破る個性的な外観と客室内装は、ゼネラルモーターズ社チーフデザイナーなどを歴任した奥山清行氏が担当。その斬新なスタイルは鉄道ファンだけでなく、幅広い層から高い関心を集めている。
この列車をいち早くNゲージモデルで発売したのが、鉄道模型メーカーのカトーだ。これまでとは異なる、全く新しいタイプの車両の模型化ということもあり、同社の最新技術が随所に盛り込まれた力作となった。
ここでは、模型化に際して、特にこだわりが感じられる先頭車のデザイン、屋根上のディテール再現、「展望車」「ラウンジカー」「ダイニングカー」の客室表現について紹介する。
先頭車のデザイン
「く」の字に傾斜した独特の形状を持つ先頭車の運転台部分。フロント窓の左右には4灯の白色LEDヘッドライトと1灯のテールライトが縦一列に並び、ブラックフェイスの運転台周りを個性的に演出する。外装塗色はシャンパンゴールドをベースに、この車両のために特別調合した「四季島ゴールド」を採用し、上質感を醸し出す。
ヘッドライトとテールライトの点灯はもちろんのこと、車体中央から先頭にかけて細くなる微妙なシルエットや「く」の字の傾斜部分、フロントガラスに沿って左右外側に角度がつけられた前面形状までをリアルに再現。「四季島ゴールド」の塗色も実感的な仕上がりとなった。
屋根上のディテール再現
「四季島」は電化区間では架線から集電を行ない、非電化区間は車両に搭載したディーゼル発電機の電力で駆動する走行システムを採用している。このため屋根上には多彩な機器が複雑に配置される。パンタグラフを搭載した中間車では、交直流機器とその周辺の配管までをリアルに再現。
先頭車の屋根には、ディーゼル発電機用の5基の冷却ファンがズラリと並ぶ。別パーツで構成されており、真上から見た時にそれぞれの内部のファンの回転位置が、実車さながらにバラバラになるような細かな演出が施される。