■商品として魅力的か ★★★(★5つが最高点)
しかし、昨年4月の『XV』登場時にこのコラムにも書いたのだが、『XV』とすべてのスバル車には大きな欠点がある。欠点とは、コネクティビティについて全く考慮されていない点だ。「CarPlay」や「Android Auto」などを使って、スマートフォンやタブレット端末を『XV』に接続してテザリングでインターネットにアクセスすることができないし、しようともしないのだ。同じセグメントの日本車でも可能なクルマが増えてきているのに、である。
今回も『XV』には汎用カーナビが装着されていたが、自分のiPhoneを接続することはできない機種だった。接続できれば、最新のGoogleマップをナビゲーション用に使用できるし、毎日自宅や自分のクルマで使っている音楽配信アプリ「Spotify」を同期して楽しむことができる。
せっかく、真っ白な雪の中で映える鮮やかなオレンジや水色の『XV』の画像をたくさん撮ったのだから、カーナビの大きな画面でチェックしたいし、SNSにもアップしたいではないか。昨年、このコラムでマツダ『CX-8』について書いた通り、アウトドアアクティビティやスポーツのために遠くにクルマで出かけた帰りに一番最初に何を行うかといったら、スマートフォンでインターネットにアクセスすることなのだ。
クルマで出かけたのならば、すでにそうしたクルマが少なくないよう、クルマをWi-Fiホットスポット化したり、そこまでできなくてもカーナビに接続して大きな画面で操作できたりすることが一番に望まれる。
スバル車の「走る・曲がる・停まる」がそこそこ良いのは当たり前だとユーザーはとっくの昔からよく知っているのだから、そこだけにガンバるのではなく、ユーザーがクルマに何を求めているのかと真摯に向き合って欲しい。難しいことではないではないか。他メーカーが行なっているように「CarPlay」や「Android Auto」が使える汎用カーナビ機を選べばよいだけの話なのだ。アメリカではそうなっているのに、日本で拒む理由がわからない。
だから『XV』を買う時にはディーラーではカーナビレスで注文するしかない。二度手間でとても困るが、その点をよく説明してから僕は『XV』を人に勧めるようにしている。
■関連情報
https://www.subaru.jp/xv/xv/
文/金子浩久
モータリングライター。1961年東京生まれ。新車試乗にモーターショー、クルマ紀行にと地球狭しと駆け巡っている。取材モットーは“説明よりも解釈を”。最新刊に『ユーラシア横断1万5000キロ』。
■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ