日本人の4人に1人、約2800万もの人が苦しんでいるという腰痛。生涯悩むことがない人はわずか1〜2割ともいわれており、まさに〝国民病〟なのだ。だからといってビジネスパーソンは、腰痛で仕事のパフォーマンスを落とすわけにはいかない。ここでは腰痛に効果的なギアをはじめ、その予防と解消法を医師やトレーナーの解説と共に紹介する。
【 医師が教える腰痛対策きほんの〝き〟】
◎ほとんどの腰痛は原因をひとつに特定できない
後述のデータからもわかるように、様々な弊害を及ぼす腰痛。とはいえ、決定的な改善法を見つけられないまま、やり過ごしている人がほとんどではないだろうか。それもそのはず、原因が特定できる腰痛は全体の約15%。それ以外の約85%は原因不明なのだ。だが、「もちろん〝何かしら〟の原因はあるのです」
そう話すのは、順天堂大学の後藤悠助医師。
「単に画像診断できないだけのこと。原因が特定できる15%には、椎間板ヘルニアや骨髄や神経が圧迫される脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)、骨折などがあります。一方で、検査ではわからない腰痛については、筋肉のコリや〝滑走不全〟(動きが悪い)のほか、長時間の不良姿勢、ストレスなどがその要因となり得ます。特に30〜40代の男性は何事も仕事優先で、運動不足になりがち。体が硬くなって柔軟性が衰え、腰に過度な負担がかかってしまうんです。腰は単独ではなく、いろいろな関節と連動して動いていますから」
そもそも腰痛が多発するのは脊椎(せきつい)の構造にも理由がある。脊椎は椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨が連なってできていて、間に挟まった軟骨組織(椎間板)がクッションの役割を果たすことで、自由に動くことができる。だが、人間はほかの脊椎動物と違い2足歩行のため、上半身を脊椎で支えなければならず、特に腰椎に負荷がかかりやすいのだ。
「腰痛の中でも特に危険なのが、骨折、感染症、悪性腫瘍(がん)。2〜3週間痛みが続く場合は、医師の判断を仰いでください」
一方で、日頃の腰痛には万全のセルフケアで臨みたい。