人間の体とは不思議なもので、体内で石を作ってしまうことがある。よく知られているのは尿路結石だ。筆者は何度もこれに悩まされた。それだけでもう十分な試練なのに、実は胆石(症)にも苦しめられた。
正直な話、どちらもかなり痛い。せっかくの経験なので、今回も患者目線のリアルな話として、前兆から治療に至るまでをレポートしよう。
なお、日本消化器病学会のガイドライン(2016)によると、この病気は世界的にForty(年齢)、Female(女性)、Fatty(肥満)、Fair(白人)、Fecund・Fertile(多産・経産婦)という「5F」が代表的なリスクファクターとして紹介されているが、日本における近年の調査では、男性の比率が上がっているとの報告もある。
診断はかなり前から出ていた
最初は背中やお腹回りの違和感だった。微妙な痛みが続くので病院で検査を受けたところ、腹部エコー、レントゲン、CTで胆嚢結石が見つかった。ただ、大きな痛みはないので、今すぐ何かする必要はないとの診断。とりあえず脂の多い食事は気を付けるよう注意された程度。本人もさほど真剣に受け止めず、その後痛みも出なかったことからいつも通りの生活を続けていたのだった。
それから2年4か月後……。胆嚢に石があることなど完全に忘れていたある冬の日。揚げ物中心の夕食をビールで流し込み幸せな気分でくつろいでいたら、みぞおちを締め付けられているような感覚に気づいた。
何ともイヤーな痛みが次第に大きくなっていく。気持ち悪さもある。横になったほうが楽かもとベッドに入り、何度が体勢を変えると痛みの感じ方が変わる。
途中、食中毒を疑いトイレに行くが大は出ない。気持ち悪さもあるので嘔吐を試みるが、これも出ない。お腹を締め付けるような痛みは次第に大きくなり、脂汗が全身から噴き出る。Tシャツ一枚になり、便器を抱えたまま5分ほどうずくまっていたら痛みが消えた。