産休や育休は、各社で制度が整いつつあり、世間では取得しやすくなったといわれる。しかし、そうした歓迎される風潮が広がる一方で、産休や育休を取得する際には一定の配慮が必要であるようだ。
そこで女性社員が産休や育休に入る前に、何をしておくべきか、ということを識者に聞いた。
■産休や育休を取るときの懸念点
産休や育休を取るにあたり、多くの女性がためらいを感じているようだ。
ゲンナイ製薬 が2016年3月に行った「産休・育休に関する実態調査」では、「産休・育休の申請をためらった」理由として、「職場の人に迷惑がかかると思ったから」と答えた人が全体で23.7%いた。その他、「復帰後、ブランクを埋めるのが大変そうだと思ったから」12.8%、「退職を促されるのではないか不安だったから」10.2%と続く。
“職場への迷惑”が一番に懸念されていることらしい。
また、マタハラ被害に遭ったのは全体の26.7%に上り、そのうち、「精神的な嫌がらせ(嫌みを言う、無視するなど)」が7.5%、「産休・育休を認めない旨の示唆」が5.3%、「雇い止め (解雇、契約を 更新しないなど)の示唆」「就業形態を転換する (正規から非正規への転換など)旨の示唆」が同率で5.0%となった。
少なからず、全員が心の底から産休や育休を歓迎してくれているわけではなさそうだ。
■産休や育休に入るときの気持ちの持ち方
できるだけトラブルを避け、気持ちよく産休・育休を利用するには、どんなことに気をつければいいか。特定社会保険労務士・人材育成コンサルタントの浜田純子さんに、産休や育休に入るときの基本的な気持ちの持ち方を聞いた。
「産休や育休は、法で定められた当然の権利ですが、権利の主張ばかりしていては、人間関係はうまくいきません。休んでいる間はもちろん、復帰後も子供の突然の病気などやむを得ない事情で周りの人にしわ寄せが行くことは、大なり小なりあり得るからです。
基本的に『ご迷惑をかけて申し訳ない』という気持ちを持つこと、また、小さなことに対しても感謝の気持ちを持つことが大切です。マタハラとまではいかないまでも、周りからあまり嬉しくない言動を受けることもあるかもしれませんが、あまり深刻に受け止めず、その都度『ご迷惑をおかけして申し訳ありません』と真摯に伝えましょう(もちろん、度を超えたいわゆるマタハラについては相談窓口などに相談することが必要です)。
そして、逆に周りの人が困った状況になったときには、自ら理解、協力する姿勢を持つと良いでしょう。持ちつ持たれつで、温かく見てくれる人は多いものです。権利の行使を当たり前だと思わず、周りの協力があってこそ長期休業ができることに感謝し、その都度その気持ちをきちんと伝えていくことが大切です」