■産休・育休に入る前にやっておきたい職場への配慮
できるだけトラブルを避け、気持ちよく産休・育休を利用するには、どんなことに気をつければいいか。浜田さんに、産休・育休に入る前に職場でやっておくべきことを教えてもらった。
●引き継ぎのポイント
「産休や育休の取得によって生じる組織の問題は、その業務を誰に行ってもらうかということです。その期間だけ代替要員を雇用する場合もあれば、他の人たちが協力して業務をカバーする場合もあります。いずれにしても大切なのは『引き継ぎ』であり、自分の仕事を引き継ぐ相手にわかりやすく伝えることが大切です。そのために、一度自分の仕事を洗い出し、見える化しておきましょう。十分、引継ぎできる日数を確保したうえで、無理のない計画を立てて行うとよいでしょう」
・自分が行っている業務の流れ及び内容をわかりやすくまとめる。
・これまでの顧客とのやり取りや情報をまとめる。
・資料の収納場所も含め、わかりやすく整理しておく。
・自分の机やロッカーなども整理整頓をする。
●挨拶まわりはどこまですべきか
「産休を取る連絡は、まず最初に直属の上司へ。その後、速やかに、日々一緒に仕事をしている自分の部署のメンバー一人ひとりに対して、産休取得の連絡と迷惑をかけることになり申し訳ないという気持ちを直接伝えます。可能な限り、他から耳に入る前に自分で伝えることが非常に大切です。
次に他部署へ。仕事でお世話になったことのある人などについては連絡をしましょう。メールでの連絡でもよいでしょう。
産休から育休となると、長期間なので、一度でも関わったことのある人、または関わる可能性のある知り合いについても、廊下などでばったり会った時などに挨拶をしておくと、復帰したときにも職場になじみやすくなります。
連絡の必要なお客様については、ご訪問の折、あるいは、メールにて伝えておくとよいでしょう。会社の取引先については、誰にどのように挨拶をするかを上司と相談しながら進めていくとよいでしょう」
●挨拶の回数と内容
「自分の部署への挨拶は、3回行いましょう。1回目は、産休を公表するとき、2回目は産休に入る直前の日、そして3回目は休業後の復帰の日です。
お菓子の配布が必要かどうかは、その組織の慣習などにもよりますし、一概に配らなければならないものではありません。しかし、産休に入る前日に挨拶と共にお菓子を配ると、心遣いはより伝わります。育児休業を終えて復帰する際にも、同様に『長い間ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします』という気持ちを込めて一人ひとりに丁寧に挨拶することは欠かせません。
このような、細やかな真摯な挨拶こそ、良好な人間関係を作っていくためには大切なことです」
取材協力
特定社会保険労務士・人材育成コンサルタント 浜田純子さん
私たちが人生の中で多くの時間を過ごすのは職場。社員がワクワク楽しく職場で働くことこそ企業の業績へと繋がるとの思いから、企業のルール作りに加えて、組織の良好な人間関係の構築を目指して人材教育を行っている。
株式会社モアグロウ http://www.moregrow.co.jp/
モアグロウ労務管理事務所 http://www.moregrow.jp/
取材・文/石原亜香利