4.事務的に相槌を打つ
相手の話を聞くときには、相槌が重要になる。事務的にならないように、それでいてわざとらしくなりすぎないように、心をこめて打つようにしよう。
場合によっては、共感・慰労の表現を用いても良い。
・「共感」の例
「そのようなことがございましたか」
「そうお感じになるのはもっともです」
・「慰労」の例
「それは、ご不便だったでしょう」
「それは、お困りでしょう」
5.クレームの元になった担当者に責任を押しつける
「あの担当者にこんなひどい応対をされた」など、特定の担当者の不適切な応対に対するクレームの場合、「そうですか、その者を呼んでまいります」などと言って、クレームの元になった担当者に責任を押し付けてはいけない。担当者を特定するのは、責任追及ではなく、事実確認をするためである。顧客のねらいは担当者をこらしめることではなく、原因を確かめ、改善もしくはそれなりの対応をしてもらうことにあるからだ。事実確認がとれたら、本人が謝罪するのがよいか、あるいは、他の者が謝罪するのがよいか、状況に応じて謝罪の方法を決めよう。
6.過剰な要求に応える
時には、相手から過剰な要求をされることもある。しかし無理な要求は飲んではいけない。できないことをできると言えば、後日、さらに顧客を不快にさせるためだ。例えば、BtoCの場合、クレームの生じた商品の「交換」まではありでも、その他の商品まで要求された場合には丁重にお断りするのがいい。切りがなくなるし、「以前はこうしてくれたのに」といった前例を作ることになり、その後の対応方法に影響が出るからだ。
7.「責任者を出せ」には安易に応じない
「責任者を出せ」や「上司に電話を代われ」はクレームではよくあることだ。しかしそこでやすやすと上司に代わってしまうと、その会社や店は“切り崩しやすい”と顧客に判断されてしまいかねない。また、事情をよく知らない上司に代わっても、「話にならない」と言われて、さらに上へ上へと要求され、切りがなくなる。一番いいのは「私がこの件の責任者でございます。ですから、私がお話を伺います」と告げることだ。
■クレームは対応次第で信頼につながることも
クレーム対応は、誰にとっても多少なりとも厄介な顧客対応である。また、重要な取引先からのクレームであれば、もはや「うちの会社は終わりなのではないか」と脳裏をよぎることもあるだろう。しかし、クレーム対応を的確かつ迅速に行えば、顧客は喜ぶどころか、自社のファンになる可能性すらある。大きなピンチは同時に大きなチャンスであることを意識し、ぜひ優れた応対をしよう。
監修
樋口 智香子さん
接客コンサルタント/マナーコンサルタント
アカデミー・なないろスタイル代表
元、資生堂ビューティコンサルタント。 一人ひとりを輝かせる接客マナーの専門家。
脳科学・心理学とマナーをかけ合わせた独自のメソッド「愛されマナー」を提唱。
接客マナー、クレーム対応、ビジネスマナー、顧客コミュニケーション等、マナーを通じて、人を思いやれる・愛される人を育てるべく、全国にそのメソッドを伝える。セミナー招致は全国121か所(現在も更新中)
http://www.nanairostyle.jp/
取材・文/石原亜香利