ちなみにクレードル形状のシートのメリットをもっと踏み込んで説明すると、リクライニングしても上体がたち気味に維持され、後席用エンターテイメントシステムが見やすかったりする。
さらにシートを中寄せすることで最大74cmのロングスライドが可能。最後端位置にセットすれば身長172cmの筆者が座った運転席の背後でひざ回りに約78cm(エスティマのスーパーリラックスモード時と同等)ものスペースが出現。まさにスーパー4座サルーンと呼べる着座感になる(3列目席を格納しなくてもロングスライド可)。そして“プレミアムクレードルシート”最大リクライニング角度は旅客機のビジネスクラスに相当する約170度。感覚的にはフルフラットでフカフカなベッドとなり、すでに説明したシート表皮裏の厚さ約3cmのソフトウレタン&大型化されたヘッドレスト=枕のおかげもあって寝心地もまた一流ホテルのベッドのように快適(くれぐれも停車時にお試しください)。自動車用シート最上と言ってもいいほどだ。そのうえ、足元フロアは奥行き約92cm、幅約132cmと広大。それこそわが家のリビングのリラックスチェアの横で大型犬がくつろぐような感覚でドライブを楽しむこともできるし、気候よければ“移動するお昼寝ベッド”にもなりうる。
ホンダ・オデッセイは、だから選択すべきは2列目ベンチシートの8人乗りではなく、7人乗りの“プレミアムクレードルシート”グレードに限るというわけだ。走って良し、座って良し、寝て良し!?・・・そんなミニバン(乗用車)、世界中見渡してもそうはない。シートアレンジ性に優れ、後席エアコン吹き出し口が備わり、3列目席を床下格納すると大型ステーションワゴン的な室内空間になるから、多頭飼いの愛犬家にもお薦めである。
ホンダ・オデッセイ
http://www.honda.co.jp/ODYSSEY/
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。