■プレミアムな新800系
「新800系」こと、800系1000・2000番代。検査測定用も兼ねており、軌道関係は前者、電気関係は後者が務める。
2009年8月、「新800系」と称する車両が登場した。テーマは「九州にしかないオンリーワンのデザイン」、「800系より、より進化したオンリーワンの新800系」。
エクステリアはヘッドライトのカバーを3次元曲面のデコ型形状に変え、前面デザインの美しさを強調。帯もツバメの飛行や宙返りを表現するため、一部曲線を採り入れた。見ているだけでも楽しさがあふれる。
妻壁は客室、デッキとも、金箔貼りの額縁に木彫りや蒔絵などを展示。
インテリアで目を引くのは、一部車両の客室妻壁に金箔を採用したこと。2号車の鹿児島中央寄りは全面、3・4号車、5号車の博多寄りはハードメープルを組み合わせた。ほか、1・6号車はクス、2号車の博多寄りはペアウッド、5号車の鹿児島中央寄りはハードメープルを使用した。
新800系2号車(左側)と4号車(右側)のリクライニングシート。
リクライニングシートは坐り心地を改良したほか、張り地も各車両異なる。1号車は市松模様の西陣織、2号車はワインレッドの革張り、3号車はカーマインで染めた無地、4号車はアイビー柄のゴブラン織、5号車はオレンジ系のツイード、6号車はアイビー柄の西陣織で、自由席ならどの車両に坐ればいいのか迷いそうだ。
■おもに博多―熊本間の〈つばめ〉で活躍
現在、800系は〈つばめ〉と〈さくら〉の一部列車で活躍する。惜しむらくは2011年3月12日の博多―新八代間開業後、熊本以南の運行が少ないこと。九州新幹線の主役はN700系8両車で、800系は脇役の感がある。
しかしながら、明るく楽しい800系の魅力は、デビューから10年以上たっても衰えることはない。
取材・文/岸田法眼