■有給休暇の理由を会社は聞いてはいけない
社員が有給休暇を取るときに、申請用紙に休む理由を書かせる企業があるが、これは法的に問題ありと萩谷さんは言う。
「遊びたいからという理由で休んでもいいし、単に気が向かないから休むというのでもかまいません。どんな理由でも有休は取れるのですから、そもそも会社が理由を聞くこと自体が間違っています。ましてや記入しなければ受理しないという仕組みであれば、使用者が干渉していることになって違法です」
もっとも、使用者側にも時季変更権があって、繁忙期で休まれると困るときは他の時季に変更することができるという。それでも、繁忙期以外ものべつまくなしに申請を書かせるのは問題で、これが日本の会社員が有休取得を遠慮してしまう一因ではないかと、萩谷さんはみる。
このように『知らぬは恥だが役に立つ法律知識』では、お金、夫婦、労使間の諸問題について、法律的な切り口から興味深い解説がなされている。法律に苦手意識があっても、サクサク読み進めることができるので、いちど読んでみることをすすめたい。
萩谷麻衣子さん プロフィール
慶応義塾大学法学部卒業。2004年に萩谷麻衣子法律事務所を設立し、離婚、遺産、労働問題など、民事・刑事を問わず多くの案件に携わる。『朝まで生テレビ!』などメディア出演も多い。
文/鈴木拓也
老舗翻訳会社の役員をスピンオフして、フリーライター兼ボードゲーム制作者に。英語圏のトレンドやプロダクトを紹介するのが得意。