走りだしての第一印象は「日本車らしくない」だった。パワステはかなり重目で、アクセルペダルの踏力もまた重い。ボディ剛性の高さを実感できるドシリとした乗り味は日本車離れしたものと言っていい。
水平対向の直噴2L NAエンジンは154ps、20.0kg-m、JC08モード16.0km/リットル(AWDは15.8km/リットル)というスペック。開発陣によれば、「燃費を追求したクルマではない」とのこと。
動力性能はインテリジェントモードだとけっこうゆったり。スポーツモードにセットするとレスポンスが高まり、高速道路でも後続車をあっと言う間に引き離す実力を示してくれる。リニアトロニック=CVTの変速はATのようなステップアップ感があって気持ち良く、痛快な加速感を演出する。
乗り心地は重厚にしてフラット。18インチタイヤとは思えない快適感だ。聞けば、サスペンションは基本的に1種類ながら、17インチタイヤを履く2.0i-Lに対してこちらはダンパーを乗り心地方向にセッティングしてあるという。
ゴルフ7ヴァリアントを所有する筆者が「ベンチマークはゴルフ7」という開発陣の言葉に納得したのは高速レーンチェンジ、山道の走行中だった。
AWDでありながらステアリングを切ったときのクルマの動き、リニアな反応、抜群の安定感とともにスーッと滑らかに気持ち良く向きを変えてくれるフィーリングは極めてゴルフ7っぽい。特に山道ではトルクベクタリングの効果絶大。ライントレース性、曲がりやすさはもう抜群。ダンパーの初期ストロークのスムーズさがもう少し強調されていれば、さらにゴルフ7に迫ると思えた。