日本だけでも3000基以上あるという灯台。これら灯台を観光スポット的にめぐるのを趣味とする女性、いわゆる「灯台女子」が増えている。
かなりの旅好きでも、灯台を訪れたいと考える人は少ないが、「灯台女子」は海岸にぽつんと立つ灯台を最終目的地として旅行する。灯台のなにが、それほど魅力があるのだろうか? 「灯台女子」の第一人者で、フリーペーパー「灯台どうだい?」編集発行人である不動まゆうさんにきいてみた。
Q:灯台めぐりの面白さはなんでしょう?
不動:灯台ってどれも同じだと思われているのですが、実はそれぞれに個性があります。明治期に建てられた灯台は頑強な石造だったり、その土地で焼かれたレンガ造だったり、リベットがカッコいい鉄造だったり。色も白いイメージが強いですが、雪の多い北海道・東北は、黒や赤の縞模様になっていることがありますし、御影石の風合いを生かして無塗装の灯台もあります。
こうした各地の灯台を風景として眺め、写真に収めるのも楽しいですし、もう少し踏み込んで灯台の背負う歴史について調べてみるのも醍醐味のひとつです。
灯台は安全な航海を支える航路標識であると共に、日本の近代化を支えた文化的建造物と言えます。灯台を訪れた際、灯台の扉の上に掲げられている初点プレートを確認できるかもしれません。そこには、灯台がいつからこの土地で光を放っていたのかが刻印されています。まただれが設計したのか、なぜこの姿になったのかと調べていくと、面白い発見があると思います。
さらに灯台は時間によっても表情が全然違います。「青空と灯台と海」という情景も素敵ですが、夕日に染まる灯台はキュンとするほど優しげで、夜になって閃光を遠くに放つ姿はダイナミックです。
私は特に、灯台の光を遠くに届かせる役目をもつ美しいレンズに心を奪われています。レンズを備えた灯台は現在数を減らしていますが、ぜひ光り輝く宝石のようなレンズを鑑賞していただきたいです。
灯台はアクセスがいい場所ばかりではないのですが、だからこそ灯台を目指して出会えた時の喜びはひとしおで、旅に達成感が生まれます!
Q:これから灯台めぐりを始める人へのアドバイスは?
不動:まずは「参観灯台」に行くことをお勧めします。内部に入って登ったり、資料館などを見学することができたりするので、灯台の魅力を十分に味わうことができます。アクセスもいい場所が多く、お子さんも一緒にご家族で楽しんでいただけると思います!
また、海上保安部さんで灯台の一般公開を行うことがあります。灯台について説明をしてくださったり、楽しいイベントも一緒に企画してくださったりします。地域によるのですが、灯台カードを発行してくれるところもありますよ!
さらにマニアックに灯台めぐりをするのであれば、一番大切なのは下調べです。小さな灯台は地図に載っていないこともあるので、あらかじめ緯度・経度を調べて地図に書き込んでおくことをお勧めします。
また夏場は藪が生い茂って道がふさがれていることもあります。クマ、イノシシ、蛇など出会いたくない動物も多いので、春・秋のほうが訪れやすいかもしれません。歩きやすい靴に、長袖長ズボンといった肌をださない服装がいいと思います。灯台は海岸にあると思われがちですが、実際は海を見下ろす崖や山の上のことが多いです。トレッキングの備えがあれば大丈夫です。
もし点灯した灯台を眺めたいのであれば、懐中電灯をお忘れなく。でも暗い山道は本当に怖いので、ぜったい一人では行かず、十分な準備をして安全第一で。まずは、近くまで車でいける灯台を楽しんだ方が、いいかもしれません!