■連載/メンズビューティー通信
ハンターの減少などで、全国的に急増している野生の鹿。農林業者に被害を与える害獣とみなされるほど繁殖しており、年間50万頭捕獲しても間に合わないほど。自治体も本腰を入れはじめ、狩猟の奨励にあわせるかたちで、鹿肉を使った料理が各地で盛んになりつつある。
味の方も「やわらかくておいしい」と評判は上々で、鹿肉ファンも増えているが、読者の中には栄養価が気になるという人も少なくないだろう。そこで今回は、ブームになりつつある鹿肉の栄養価や入手方法などについて、近刊『鹿肉を楽しむ』(林真理/丸善出版)をベースに紹介したい。
■タンパク質は遜色なしで、脂肪は良質
エゾシカのもも肉100gあたり、タンパク質は22.6g、脂肪は5.2g含まれている。他の畜肉(もも肉)で比較すると、牛肉は23.1g、10.7g、豚肉は22.1g、3.6g、鶏肉(皮なし)は22.0g、4.8gとなる。
こうしてみると、タンパク質・脂肪の含有量においては他と遜色はない。脂肪についていえば、必須脂肪酸であるオメガ3系不飽和脂肪酸とオメガ6系不飽和脂肪酸がバランスよく含まれているのが、鹿肉の特色。
このバランスがどちらかに偏ったまま脂肪酸を摂取し続けると、動脈硬化といった生活習慣病、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患のリスクが高まるとされており、この点で鹿肉にはアドバンテージがある。