■音は別物! コンデンサーの容量は0.82μFか0.47μFが良かった
それではスーパーツイーターをアクリル台に固定、付属の1μF耐圧50Vのコンデンサーを接続した状態で聴いてみよう。まず、驚いたのは別のスピーカーかと思うほど音色が変わったことだ。スーパーツイーターの支配力は予想より大きく、ボーカルの音像が上にあがるだけでなく、かなりバランスが高域寄りになった。MichaelJackson「Thriller/Billie Jean」(DSD64)では、高域のヌケが良くなり、音の移動感も分かるが、ツイーターから音が出ている感じになった。フルレンジ一発の時はスピーカーの存在を忘れさせるのがウリだったのに。これではうるさすぎるので、3.9Ωの抵抗を1本挟んだ。これでかなり落ち着いた音になったが、まだ高域の主張が強い。マニュアル通りの接続方法で6dB落ちになるように接続。かなり自然になった。ここで逆相接続を試してみる。ツイーターの場合、逆相に接続した方がいいことがあるので試聴で決める。うーん、これはあきらかに逆相の方がいい。音像が小さくなって、音像定位も良くなった。広がり感、音の粒立ちも良く、ボーカルはやや奥に定位する。
今度は容量は同じ1μFで耐圧400Vの国産ブランドでオーディオ用のPARC Audioのフィルムコンデンサーに交換する。これは『キットCRP』に含まれるものだ。Billie Jeanは情報量が増え、細かい音が聞こえると同時に、力強くなった。低域の歯切れがいい。歯切れはいいが刺々しさは減っている。さらに高域でカットする0.82μFに交換する。手嶌葵「I Love Cinemas -Premium Edition-/Calling You」(96kHz/24bit)では、ボーカルが目立ってきた。ギターはやや引っ込む。Billie Jeanでは低域が前に出る感じになった、バランスはこちらの方がいい。さらに0.47μFに交換。Billie Jeanの低域がさらに出るようになる。ボーカルは変化ナシ。私が使うなら0.82μFか0.47μFだ。ちなみにキットに含まれるのは1.5μF、1μF、0.82μFの3種類である。どれがベストかは組み合わせるフルレンジユニット、エンクロージャー、音の好みによるので、ぜひ試聴で決めて欲しい。
さらにコンデンサーのブランドも比較試聴した結果、mundorf『M-CAP/630V』0.47μFを使うことに決めた。しかし、まだその音はThe 2Wayという感じなので、さらなる対策を施す予定だ。次回はフルレンジの高域を抑えるためにコイルを入れてみたい。
スーパーツイーターに抵抗とコンデンサーを入れてピンクノイズで測定。ユニットから15cmの位置。900Hz以下は部屋の暗騒音でユニットの音ではない。またこの測定器は20kHzまでしか測定できないため、その先は急峻に落ちている。これはなかなかいい感じの周波数特性に見える。
写真・文/ゴン川野
オーディオ生活40年、SONY『スカイセンサー5500』で音に目覚め、長岡式スピーカーの自作に励む。高校時代に150Lのバスレフスピーカーを自作。その後、「FMレコパル」と「サウンドレコパル」で執筆後、本誌ライターに。バブル期の収入は全てオーディオに注ぎ込んだ。PC Audio Labもよろしく!
※記事内のデータ等については取材時のものです。